「みなし残業」って何?キャリアカウンセラーさんが解説

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「みなし残業」は、未払い残業代問題がクローズアップされる時流のなかで、使用者が法令を遵守し、給与計算事務を効率化することを目的に、近年導入がすすんでいる給与制度のひとつです。「固定残業制」や「定額残業制」といわれることもあります。

「みなし残業」とは、給与のうち、残業代に相当する部分を意味しています。たとえば、基本給20万円、みなし残業手当7万円の場合には、月の残業代のうち7万円分は、みなし残業手当として支給されることを意味しています。ちなみに、月の残業代を計算した合計額が7万円に満たない場合でも、みなし残業手当を減額して支給することはできません。他方で、月の残業代の合計額が7万円を超えた場合には、超過した部分の残業代は、みなし残業手当とは別に追加で支給しなければなりません。

それゆえ、みなし残業制であることがそのまま「青天井に残業をさせられる」、「残業代は支給されない」ということにはなりません。ただし、最近は残業を事前許可制にしている企業が増えていますので、みなし残業手当額を超える部分の残業は認めない会社もあります。

使用者の側がみなし残業制を悪用することを防ぐために、みなし残業手当を運用する際には、定義の明示など、一定のルールが求められています。たとえば、「7万円分のみなし手当=40時間分の残業相当分」と就業規則や労働契約書に明示しておくことが必要です。もちろん、みなし残業手当の金額が、法定残業代の金額を下回ることは許されません。つまり、右の7万円は、40時間分の残業代として実際に計算した実額を上回っていないと認められません。また、基本給を時給に換算した金額が、最低時給(東京都:888円)を下回る場合は、労働基準法違反になります。

みなし残業手当は、名称ではなく実体で判断されます。営業手当や業務手当という名称であっても、それぞれの手当の定義が、みなし残業手当に相当することが就業規則等に明示されていれば、みなし残業手当として認められます。

メリット、デメリットについては、いろいろな見方がありますので、一概にお答えすることはできません。「みなし残業」を導入している企業であっても、残業時間の管理は必須ですので、勤怠管理がきちんとされているか、情報収集できると安心でしょう。もちろん、面接時に確認する際には、失礼にならないように、上手に、スマートに質問するスキルが求められます。

タカミタカシさんプロフィール

キャリアカウンセラー。2008年にJACCA日本キャリア・コーチング協会をスタート。個人支援専門のキャリアコーチとして1,000名をコーチ。自己分析・キャリアデザイン・就職・転職・昇進昇格を得意とする実務家として、成果につながる具体的なアドバイスと丁寧なサポートが強み。

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