美人女子アナを政治家の愛人に 「性賄賂」の実態 (2/2ページ)
葉が周にキャスターを「提供」していた李東生の愛人だということ(つまり李は周と同じ愛人を共有していた)は公然の秘密だったため、李を介して葉に注意したところ、葉は犯人であることを認め、泣いて許しを乞うたという。
実は葉は江西テレビからCCTVに移籍してきた「外様」で、学歴も沈より低い。そのため局内の権力者である李の愛人になることで看板キャスターの地位に上りつめたのだが、その頃の李の関心は沈など他のキャスターに移りつつあった。そのため、沈は、葉が嫉妬からこのような嫌がらせをしたと考えたのだったが、実際は違ったようだ。
当時、周の愛人だったのは沈で、葉の立場は「昔の愛人」だ。その葉はあらためて周に積極的にアプローチし、周からはうるさがられていたという。作戦がうまくいかないことに業を煮やした「昔の愛人」が「今の愛人」に嫌がらせをした、つまり「局内の出世争い」ではなく「権力者の愛人の席の奪い合い」だったというのが真相のようだ。
しかし、葉も沈もついに周の妻となることはなかった。その座を射止めたのは一番年若い賈暁だったというのは何とも皮肉な話だが、周が汚職の疑いで身柄を押さえられる二日前の2013年11月29日、彼を監視していたとみられるカメラが、北京百盛店の駐車場で彼と葉が逢引きする場面(周と葉が乗り込んだ車が激しく揺れていたとされる)を捉えていたことを踏まえると、葉は最後まで周と深い関係にあったのかもしれない。
2013年から汚職撲滅を進める習近平政権だが、CCTVも「利権の温床」としてその利益供与の構造の解体が進められている。
周永康の失脚もそれと無関係ではなく、彼の失脚に伴って沈冰、賈暁、葉迎春らも取り調べを受け、表舞台から姿を消したが、2014年に沈が『私と周永康の物語(我和周永康的故事)』と題した暴露本を出版するなど、話題には事欠かないようだ。
本書では、中国政界とその周辺にはびこる人々の権力闘争のエピソードが数多く紹介され、権力のためには手段を選ばない苛烈さを垣間見ることができる。
中には、事実か定かでない情報も混じっているが、それは中国国内の噂や民衆の声であり、別の意味で参考になる。それらはまちがいなく、中国という隣人を理解する助けになるはずだ。
(新刊JP編集部)