太鼓を打つ男 林英哲 # 4 年を重ねた太鼓の音 (1/2ページ)
「太鼓は若者の芸だと言われれば、そうかもしれませんね。上半身裸になって筋肉を見せて、イケメンの青年たちが一生懸命やれば、カッコイイのかもしれない。でも僕が今、この歳でそれと同じことをやれと言われてもそれはできないし、やっても意味が無いと思う」
ソロ・アーティストになってからはオリジナル作品を次々と生みだし、NYカーネギーホールをはじめ世界各地で公演を重ね、オーケストラや一流アーティストとの競演も数多くこなしてきた。年齢とともに林英哲の太鼓は、衰えるどころか、円熟の境地を迎えているようだ。
「肉体的な衰えは、ありますよ。年代とともに、楽な奏法に切り替わっています。それが良いか悪いか、自分ではわからないけど、でも表現としてクオリティは下げない。昔はエンジン全開で燃費の悪い打ち方をしていたけれど今は、必要な時だけガッとアクセルをふかすだけで、遠くまで行けるようになったんです。若い時とは違う、味わいがある。それが芸能の特質ですから(笑)」
1952年広島県生まれ。71年『佐渡・鬼太鼓座』の創設に参加。トッププレイヤーとして活動後、81年『鼓童』創成期の演出を担当。82年太鼓独奏者として活動を開始。84年にNY・カーネギーホールデビュー。2000年にはベルリン・フィルと共演。近年では和・洋器楽奏者や伝統芸能の能・歌舞伎等の囃子方、歌舞伎舞踊やコンテンポラリーダンス、バレエのプリンシバルなど、若手アーティストとの共演も多い。今もなおパイオニアとしてジャンルを超えた世界のアーティストやオーケストラと共演しながら、太鼓の新しい音楽を創造しつづけている。CD、DVDなど多数。
近著に『太鼓日月 独走の軌跡』(講談社刊)ほか。
2016年には演奏活動45周年、2017年にはソロ活動35周年を迎える。