妖怪ブームとまちおこし、水木しげるが「現世」に残したもの (2/3ページ)
その後、『地獄先生ぬ~べ~』や『犬夜叉』、『幽☆遊☆白書』など数々の妖怪を取り扱った漫画が登場するが、果たしてこれらの中に水木しげる氏の影響を受けていない作品などあるのだろうか?
キャラクターデザインが違うことやタッチの斬新さを訴えたところで、「妖怪」を題材にした段階で、既に水木氏の手のひらからは逃れられないと言っても良いのではないだろうか。
たとえば『妖怪ウォッチ』が、全く平成時代の新たなキャラクターを生み出したと言われても、私は水木氏の手のひらに乗っているとしか思えない。
なぜならば、人間界で妖怪が活躍する、妖怪が親しみ易い、といった設定時点で、それが既に水木氏が作り上げてきた土台の上にあると思えるからだ。
作家の京極夏彦氏にも影響を与えた文化人類学者で、民俗学者の小松和彦氏が水木氏について語っている。
<水木さんの妖怪画は江戸時代の妖怪画の伝統を継承し、現代の新しい妖怪文化をつくる上で重要な役割を果たした。水木さんの膨大な妖怪画がなかったら、日本の妖怪研究がこんなに発展することはなかっただろう。>
本当にそう思う。
■ 町おこしにも貢献した水木氏
以上のような水木氏の貢献や影響からすれば小さな話になるが、氏は町おこしにも貢献している。
氏は郷土愛が強かったため、1993年から始められた鳥取県境港市の町おこしに協力した。同市には『水木しげるロード』が建設され、2003年の『水木しげる記念館』の開館により完成した。
おかげで同市には1993年以降、毎年200万人以上の観光客が訪れ、2010年にNHKで連続ドラマ『ゲゲゲの女房』が放映されると370万人を突破している。
氏の知名度が、同市を中国地方有数の観光地に持ち上げてしまった。
また、氏の自宅に近い調布市の『天神通り商店街』も、ゲゲゲの鬼太郎を始めとする、水木氏の妖怪キャラクターのモニュメントを設置して町おこしを行っている。