「ラグビー」「白菜」「狸」「三十三才」と言えば? ピンときたら風流人!―冬の季語

タイトルの単語はすべて冬の季語です。「ラグビー」は冬の花形スポーツ、「白菜」は冬が旬の野菜なのですぐに納得できますが、「狸」と「三十三才」はすこし不思議ですよね。
じつは、狸のみならず、「狐」も冬の季語です。狐の場合、冬に皮を取るために捕獲したことが由来です。一方、狸はその昔 狸汁として食べられていたようで、とくに冬は、秋にたっぷり栄養を蓄え肥えた狸が獲れたようです。
では、「三十三才」は?
女性の厄年を思い浮かべた人も多いと思いますが、まったく違っていました!?
じつは、「三十三才」と書いて「みそさざい」とも読みます。(「鷦鷯」とも書けます)。みそさざいはスズメ科で、翼の長さが約5cm、全体的に茶色をした小鳥です。渓流や茂みなどでよく鳴いており、冬は人里にもあらわれるそうです。
ほかにも、わかりやすいものから、なぜ?と疑問に思ってしまうもの、オシャレなもの、ユニークなもの等々、季語は想像以上に多岐にわたっています。いくつかご紹介しましょう。
●天文編
・神渡(かみわたし)こぼれ飯粒ひからびて/秋津美鳥
季語は「神渡」で、神無月に吹く西風のこと。神々を出雲に旅立たせるように吹く風なのだとか。
・ダイヤモンドダストをまとひ登校す/赤川楓
「ダイヤモンドダスト」が季語で、これは空気中の水分が氷ることで起きる現象をいいます。晴天のスキー場でキラキラ輝くダイヤモンドダストを見たことがあるという人もいるのでは。
●地理編
重なりて眠れる山や鞍馬かな/高浜虚子 日のさせばあたたかさうに山眠る(紺野いつみ)季語は「山眠る」です。たしかに、冬山は眠っているような静けさですよね。ちなみに、「山笑う」は春の季語になります。
●人事編
・寒さうに母の寝たまふ蒲団かな/正岡子規
季語は「蒲団」。本来は防寒用品だったため冬の季語になっているようです。ただし「夏布団」は夏の季語に。
・ペコちゃんを拭ひ銀座の年用意/舟まどひ
季語は「年用意」で、新年を迎えるさまざまな準備のことをいいます。
●行事編
・淋しさの極みに聖樹点(とも)りたり/豊田まつり
季語は「聖樹(せいじゅ)」、つまりクリスマスツリー。「降誕樹(こうたんじゅ)」も同じ。
・とかくして又故郷の年籠り/一茶
季語は「年籠(としごもり)」。一見、年をまたいだ自宅引きこもりのように思えますが、そうではないようです。年越しの夜に神社などにお参りし、そのままそこにこもって寝ずに新年を迎えることをいうのだそうです。
●植物編
・茶の花や黄檗山(おうばくさん)を出でて里余(りよ)/夏目漱石
季語は「茶の花」です。お茶はツバキ科の植物で、葉っぱのみならず、初冬の頃には白い花が咲き、実もつけます。ちなみに、黄檗山とは京都は宇治にある万福寺の山号です。
・日のあたる窓の障子や福寿草/永井荷風
季語は「福寿草」。花があまりない冬の終わり頃に咲くだけに、福寿草は貴重で、正月の床飾りにも用いられています。冬というより新年をあらわす季語として使われます。
冬の季語が使用される期間は、原則、立冬(11月7日頃)~立春(2月4日頃)の前日までになります。クリスマスや新年の挨拶に風流なひとことを添えてみてはいかが。
文・鈴木ゆかり
※参考
「 大辞林第三版」(松村明 編/三省堂) 「いちばんわかりやすい俳句歳時記」(辻桃子・ 安陪元気 著/主婦の友社)