山口組“分裂騒動”で混迷する内部に潜入…鉄のシャッターに監視カメラは10個以上 (3/3ページ)

デイリーニュースオンライン

 他にどんな部屋があるのか? 

「代表的なのは、当代の執務部屋(組長室)と、上から執行部部屋、若中部屋、幹部部屋、舎弟部屋。それに事務室と、住み込みの部屋と炊事場。簡素な住み込み部屋以外は似たつくりで、大きなソファ一式と、会議机にイス。序列が上になるほど高級な家具となる。たとえば、会議用のイスで背もたれが首まであるのは執行部の部屋だけ。各部屋には高級布団が数組ずつあり、寝泊まりもできる」

 R氏がもっとも印象的だったと語るのは事務室である。

「ほとんど警備会社のオフィスのような雰囲気だ。壁一面に20個くらいの40インチのモニターが埋め込まれていて、壁に向かって長いテーブルが置かれて、数人の組員が24時間体制で監視している。警備は厳戒で、数時間に一度、総本部の周囲を担当の住み込みが車で巡回もしている」

 “秘密の部屋”や通路などの存在は?

「それは言えないし、実際、部屋住みの若い衆にはわからない部分も多い。幹部以外、“ご法度のエリア”もある。とにかく、やけに重厚で、異様にしんと静まり返った場所なので、ストレスは溜まったね。そんなときは、休憩時間に、屋上にある“トレーニング場”で汗を流す。といっても、サンドバッグとちょっとしたダンベルがある程度なんだが。あ、ここで汗をかいても、総本部には風呂は1個だけ。それも家庭用のごく普通のサイズの風呂しかない。五代目が住んでいた“奥の院”には檜風呂があるが、六代目になってからはほとんど使われていないようだ。まあ、とにかく、定例会のない本部の日常は、禅寺のように静かで、厳かな雰囲気が漂っていた。声がよく響くんだ」

 日本最大の暴力団・山口組中枢の一端である。

(取材・文/根本直樹)

根本直樹
1967年生まれ。週刊誌記者を経て、2001年よりフリーに。在日外国人犯罪、ヤクザ、貧困ビジネスから人物インタビューまで幅広く取材執筆。著書に『妻への遺言』(河出書房新社)、編著に『歌舞伎町案内人』などがある
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