中国の”イスラム国”テロ対策 「ウイグル民族の弾圧」が本当の狙い? (2/2ページ)
中国政府の機関紙「環球時報」は、「ヨーロッパの多くの国がトルコ政府を非難している」という記事を掲載しました。記事を読んでみると、フランスのメディアはロシアとの協調を訴え、ドイツのメディアは「本当の敵はISだ」と、トルコ機の攻撃を批判する記事を掲載したそうです。フランスやドイツがロシアに肩入れしているのは、おそらく、これらの国が参加する「有志連合」が行うISに対する空爆作戦に、ロシアが本格的に協力しているためだと思います。
特に、現在の空爆はパリで発生したテロ事件が発端となっているため、フランスはロシアに対し多大な恩義を感じているのでしょう。トルコは同じムスリム系国家という立場から、中国政府のウイグル民族弾圧を以前から非難しています。
そのため、現在の中国国内においては「我々はISに協力するウイグル民族を成敗している! そのウイグル民族を支持するトルコもISの手先だ!」だという論調が広がり、国民たちの反トルコ感情が高まっています。ネット上においては、「トルコなんて、中国領土である新疆ウイグル自治区の独立を密かに加担する東トルキスタンの連中だ!」といった声が上がっているほどです。
人質殺害事件を受け、中国のネットでは「ISを滅ぼせ!」、「人民解放軍も有志連合に参加せよ!」という書き込みが相次いでいます。それと同時に、「ISに加担するウイグルのテロリストどもを取り締まれ!」という、テロ問題と自国の民族問題を混同したような書き込みも見られます。
現在ISのテロ活動は世界中を恐怖に陥れています。僕は各国が団結し総攻撃を行い、一刻も早くISを撲滅すべきだと考えていますが、同時に卑劣なテロすら自国の政治に利用する中国政府に対し、あらためて憤りを感じています。
著者プロフィール

漫画家
孫向文
中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)
(構成/亀谷哲弘)