臨床内科専門医に聞く! せきが止まらないときはどこの科に行くのが正解?
季節の変わり目や風邪の終わりがけに、コンコンとせきだけが続くことがあります。風邪のようだけれどほかの症状はなく、重い病気では!? と気になることもしばしばです。そこで、臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長に、せきが止まらないときの原因と対策について、詳しいお話しを聞きました。
■せきが3週間以上続くと、風邪以外の病気の可能性がある
正木医師はまず、せきの原因についてこう説明します。
「せきが出始めて3週間以内におさまる場合は、『風邪』や『インフルエンザ』など『細菌やウイルスによる感染症』がほとんどです。せきは、体の自然な防御反応なので、日常生活に支障をきたす場合を除いて、薬で無理に止める必要はないでしょう」
次に、
「せきが3週間以上続く場合は、風邪やインフルエンザ以外の病気の可能性が高くなります」と正木医師。
ここで、その場合に考えられる病気や症状、原因について、正木医師に整理してもらいました。
・連続的に短いせきが出る『百日せき』や『マイコプラズマ感染症』などの感染症。せきが長引く前に、鼻水、発熱や頭痛、けんたい感など風邪と同じような症状が現れる。
・息苦しさやたん、呼吸するときにゼイゼイ、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)を伴う『ぜんそく』。
・喘鳴(ぜんめい)はしないものの、たんは出ない空せきが続くときは『せきぜんそく』。
・のどのイガイガ感を伴うせきの場合は『アトピー性咳嗽(がいそう)』。
・胃酸が食道に逆流して神経を刺激する『逆流性食道炎』。胸やけやゲップがよく出る。
・副鼻腔(ふくびくう)と気管支に炎症が起こる『副鼻腔気管支症候群』。起床後に、痰(たん)の混ざったせきが出やすい。
・アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎によって、鼻汁がのどに降りてせきが出る『後鼻漏(こうびろう)症候群』。
・感染症の疑いがないときは、『肺炎』や『肺結核』、『肺がん』などの肺に関する重い病気も考える。
・高血圧の薬の副作用など。
■迷ったときはかかりつけの内科か耳鼻咽喉科へ
ではいったい、何科の病院を受診すればいいのでしょうか。受診のポイントについて正木医師は、こうアドバイスをします。
「まずはかかりつけの内科か耳鼻咽喉科を受診するのがいいでしょう。長引くせきの場合、胸部のレントゲンを撮ったうえで、問診や聴診、場合によっては血液検査をして判断します。
結果によって、自院で治療する場合と、専門的な治療が必要と判断したときは呼吸器内科や消化器内科など、適切な診療科目の病院を紹介します。
せきが長期間続いているときは、『いつ頃からせきが出だしたか』、『痰(たん)は出るか、ノドは痛いか、鼻水や鼻づまりはあるか、熱はあるか、胸やけや体重減少など、気になる症状』、『せきが出やすい時間帯や環境』を医師に伝えると、診断の助けになります」
せきが出るのは、風邪以外にもいろいろな病気からのサインであることが分かりました。症状や状況を整理して、早期治療につなげることが大切ということです。
(岩田なつき/ユンブル)
取材協力・監修 正木初美氏。日本臨床内科医会専門医、大阪府内科医会理事、大阪府女医会理事、日本内科学会認定医、日本医師会認定スポーツ医、日本医師会認定産業医、正木クリニック院長。
正木クリニック:大阪府大阪市生野区桃谷2-18-9
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