STAP細胞騒動が再燃…米研究者の新論文と”デマ・真実論争”の背景

デイリーニュースオンライン

再燃したSTAP細胞問題(写真はイメージです)
再燃したSTAP細胞問題(写真はイメージです)

 独立行政法人理化学研究所の元研究員・小保方晴子氏らが発表し、社会問題にまでなったSTAP細胞問題。アメリカで同問題にまつわる新しい論文が11月27日に発表され、今月11日前後から国内で騒動が再燃。STAP細胞はデマなのか真実なのか、ネット上で議論になっている。

米研究者が"STAP現象"について発表? STAP細胞ある?

 かつて大バッシングに晒された小保方氏のSTAP細胞問題。米研究者のチャールズ・バカンティ氏と日本の研究者である大和雅之氏がそれぞれ独立に"刺激で細胞が初期化される"アイデアを着想。そして大和教授が指導していた小保方氏の実験を通じ、"全生体組織と胎盤組織に分化できる多能性を備えた細胞"として「STAP細胞」に関する論文を、チャールズ氏・若山照彦氏と共著で学術雑誌「ネイチャー」に投稿。しかし次々に不正が指摘され、2014年に論文は自主撤回された。

 日本国内の一部ブログが、海外のWebサイト「Nature.com SCIENTIFIC REPORTS」へ11月27日に掲載された英語論文「Characterization of an Injury Induced Population of Muscle-Derived Stem Cell-Like Cells」を元に、"STAP現象の存在について、米研究者によって発表された"と主張。"小保方晴子の考えは事実だ"と説明した。

 もしも真実ならば、今までの論調を大きく覆すだけに、SNSを通じて情報が広く拡散された。ツイッターでは一時期「小保方晴子」「STAP細胞」のワードがトレンド入りし、ネット掲示板でも議論がヒートアップした。「スタップ細胞は、ありましたぁ!」「確か疑惑が持たれた後もスタップ現象は有るって言ってたな。 つくづくもったいない」「混迷の早稲田大学 小保方氏の博士号取り消しを撤回か?」と期待する声が上がった他、今までの騒動を振り返って「この流れ、地獄だわ」「(ネットユーザーらが)手のひら返しすぎて骨折してるだろ(笑)」と感想をもらしている。

 しかし徐々に、今回の「STAP細胞がある」という主張についてデマ説が高まってきた。発表された論文中には"STAP"の言葉が一つも出てこない上、
「複数のグループより矛盾する結果が報告されている」
(Nature.com SCIENTIFIC REPORTS,Characterization of an Injury Induced Population of Muscle-Derived Stem Cell-Like Cells,「Discussion」欄、第1パラグラフ英文より)

 といった記述も見受けられる。小保方氏が2011年に執筆した論文「The potential of stem cells in adult tissues representative of the three germ layers」が"参考文献として記されている"という主張もあるが、それも36ある参考文献の一つに過ぎず、同論文でどれほど参考にされているのか判別はできない。

 また、情報の発信源である「Nature.com SCIENTIFIC REPORTS」は、ネイチャー本誌ではなく"姉妹サイト"。それを「Natureが実はSTAP細胞を認めた!」と主張するネットユーザーもいるため、「半ば以上詐欺な論法」「記事の信頼が薄い。本当に証明されたと思うのは早い」と非難する声や、論文の内容自体が「細胞は『初期化』されてないからSTAP現象ですらない」として、小保方氏のアイデアを完全肯定するものではないと見なすユーザーも。デマ説に対して「ウソだったのか」とガッカリする人が出ている。

 事態は収束するかと思いきや、SNSやネット掲示板にはデマ・真実と両方を主張する意見が飛んでいる。「俺は小保方さんを信じてたよ」「小保方さんノーベル賞だね」「まさかの逆転勝利」と肯定する意見も残っており、一部で「デマとどっちやねん!」と混乱する人がいる状況だ。

「各ユーザーの情報の受け取りにタイムラグが生じた可能性もあります。今回の論文が小保方氏の研究をどれだけ認めているのか、内容が複雑なだけに、素人では判断できない状態。研究者や識者の正式な声明を待ちたいところ。もうしばらくすれば、事態は事実に向かって収束していくでしょう」(報道関係者)

 もしも本当にSTAP細胞の存在が認められれば世紀の大発見と言えるだろう。小保方氏らの立場も大逆転する。しかしSTAP細胞の価値が再度認められた論文であるなら、ソースの信ぴょう性すら疑われるWebサイトではなく、本誌のネイチャーで発表されるのではないだろうか?

蒼木学(あおきまなぶ)
フリーの取材記者。エンタメ・芸能から教育・社会問題まで幅広く取材を行う。興味のあるトピックは人工知能、近現代史。
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