福岡市に抜かれる前に? 人口減少の神戸市が打ち出した”移住プラン”の衝撃 (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

福岡市は市債残高が2兆円を越える

 事実、京阪神地区のアクセスはよくない。新幹線・新大阪駅からJR大阪駅、そして阪急・阪神の梅田駅までJRで約10分近くの時間を要する。同じく新幹線・新神戸駅からJR三ノ宮駅まで徒歩で20分近く。バスだと10分程度、関東に比して、どこかに移動するにも公共交通機関を用いるまでに時間を要する。ここが関東地区と大きく異なる。

「関西人の気質として“個”が大事にされます。これが商売にも表れている。そのため各電鉄会社は我先にと鉄道を敷き、それに伴った都市開発が行われてきました。平たくいえば無計画なんです。それがアクセスを悪くし人の回遊を著しく阻害している」(同)

 とはいえ神戸市は観光資源が豊富で大阪にも電車で約20分の距離に位置する。大阪府近郊に勤める人たちのベッドタウンとして、また観光地としても復活の可能性は十分見込める。

「よく神戸に住む人は、『神戸が日本で住みやすい町』と思っているといわれます。実際、住んでみることで町のよさがわかることもあります。今回、神戸市の『LIVE LOVE KOBE』事業にみられる居住体験は、大規模自治体のあらたなるPRとして記憶に留められるのではないでしょうか?」(同)

 県外からの移住者を囲い込むこの「LIVE LOVE KOBE」は、“試住”をコンセプトに20歳から49歳の県外居住者を対象に平成2015年12月15日から2016年2月27日までの間行われる。3泊以上の滞在が求められ、最大14日間まで神戸市での生活を体験できる。2016年2月17日まで応募可能だ。宿泊費は無料だが、“衣・食・住”をはじめとする神戸市での暮らしを体験するツアー参加料を1人当たり8000円の負担しなければならない。

 今回の神戸市の取り組みについて国内金融機関の不動産担当者は次のように語った。

「九州の玄関口であり、対アジアの日本の窓口でもある福岡市と、京阪神地区の一角である神戸市では、その伸び代が違います。ただ人口を大勢抱えているからいいというものでもない。今回の神戸市にみられる移住政策は、政令指定都市第5位といえども安穏としていられない自治体経営の厳しさをまざまさと見せつけたもの。いい結果になることを期待したい」

 もっとも福岡市にも課題はある。市の財政は厳しく、市の借金である市債残高は2013年には約2兆4400億円と全国の自治体のなかでも高水準で、これは市民一人当たり177万円の市の借金を背負っている計算となる。第1の大阪市が市民一人当たり188万円、福岡市に次いで、京都市が160万円、神戸市が145万円となっている。

 政令指定都市といえども財政面では厳しく、住民を県外から囲い込まなければならないほど逼迫している時代、県外にまで手を伸ばし住民を誘致しようという今回の神戸市によるこの「試し住み」という試み。はたして神戸市の思惑通りに事は運ぶのか。今後の動向に注目したい。

川村洋(かわむらひろし)
1973年大阪府生まれ。大学卒業後、金融業界誌記者、地元紙契約記者を経てフリーに。週刊誌や月刊誌で活躍中
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