3000メートル級の雪山にもアツいハートで挑む登山家! 山梨大学4年・岩崎庄太朗さんに話を聞いてみた

学生の窓口

山岳部のメンバーと北穂高岳に登る岩崎さん(写真中央)

スポーツや学問、グルメやサブカルなどジャンルを問わず、飛び抜けた個性を持つ大学生を紹介するこのコーナー。記念すべき第1回目は、山梨大学4年生・山岳部に所属する登山大好きな岩崎庄太朗さんです。学生ながら、柔らかい笑顔からは想像もできないようなハードな登山をこなしてきた岩崎さん。今回は、登山の醍醐味や将来の夢について熱く語ってくれました!

■山登りは常に危険と隣り合わせ。だからこそ楽しい!

編集部を訪れた岩崎さん。3連休も関東の山を登ってきたそう

――岩崎さんが山登りを始めたきっかけは何ですか?

本格的に始めたのは父親の影響です。高校生の頃、山登りが趣味の父親に連れられて、初めて雪山に上ったんです。そこで運悪く猛吹雪に遭ってしまい「これは死ぬ!」って思ったんですけど、同時に「危ないけど楽しい」と自分の中で何かが目覚めたんです。それから大学で山岳部に入部して、大学4年間はほとんど登山一筋で打ち込んできました。だいたい1年に100日ぐらいは山に登っていたかなと思います。僕が取り組んできたのはいわゆる崖や絶壁のクライミングをする「岩登り」メインの登山ではなく、あくまで山歩きが中心の登山です。もちろん、コースによっては断崖絶壁を通らなければいけないこともあります。

――過酷な状況下でも楽しいと思えるのはすごいですね。その他にヤバかったことはありますか?

大学1年生の冬に、同級生2人と一緒に山梨から東京まで山を歩いて越えようとしたときですね。2月だったので雪がすごくて、普通だと半日で行けるようなところを2日もかかりました……。当時はまだ山岳部も本格的な山に登った経験がある人が少なく、山登りの知識も装備も不足していたので、仲間が凍傷になってしまったんです。僕がパーティーのリーダーだったので、仲間の命を危険にさらしてしまったことに責任を感じました。

――まだ経験が浅かった大学1年生ならではのエピソードですね。その他に山登りで自分の身に危険を感じたことはありますか?

高さ15mくらいの沢で沢登りをやったとき、滝壺に落ちてロープで宙吊りになってしまったことですかね。運良く岩の突起に親指の爪がひっかかって助かったんですけど、あの時は本当に死ぬかと思いました。あとは、去年の末に南アルプスを仲間と2人で縦走したときですね。40キロくらいの荷物を背負ったまま、岩の壁を乗り越えるのがすごく大変で。体感-20℃くらいの中、3時間くらいずっと岩の壁に張り付いていて、身体の隅々まで冷えていく恐怖を今でも覚えています。

――そういった厳しい局面では、仲間と励まし合ったりするのでしょうか?

そうですね。そういうときに仲間がそばにいると安心するのはもちろん、一緒に山を登っていると、会話をしなくても、お互い何を思っているのかだんだん分かってくるんです。困難にぶち当たっても、「こいつがいるから突破できる!」と自分を奮い立たせることができる大切な存在です。同じ山梨大学の登山部の仲間と登ることが多いのですが、女性も何名か所属していて一緒にチームを組んで登りますよ。他大学の山岳部とも交流がありますし、僕の登山活動の原点である父と一緒に登ることもあります。また、山で出会った人とは学生・社会人問わず雑談をしたり声を掛け合ったりしていますね。

■「ここを乗り越えたらさらに強くなれる」

――山登りでの危険を少しでも回避するためにも、日々トレーニングは欠かさないのでしょうか?

トレーニングについては、「山登りのための筋肉はジムで鍛えない」というポリシーを持っています。山で使う筋肉とジムで鍛えられる筋肉って違う気がするので……。その代わり、近所の裏山で毎日ランニングしたり、通学時はいつも重りを入れたザックを持ち運ぶなど、日常生活にトレーニングを取り入れるようにしています。

雪山に登頂する岩崎さん。3000メートル級の山を数日かけて縦断することも

――山登りは死と常に隣り合わせですよね。そういう危険を冒してまで、岩崎さんを駆り立てる山登りの魅力とは?

山登りで楽しいのは「自分はどこまで強くなれるんだろう?」と問いながら挑むところ……なんて言い方だけならかっこいいんですけど、実際はただドMなだけですよね(笑)。たとえば、深い雪山を真っすぐ進むだけってすごくキツいんですけど、「ここを乗り越えたら強くなれるぞ!」って思う瞬間が興奮の最高潮ですね。「この雪ヤベーな、すげー楽しいな」ってニヤニヤしながら登っています。

――本当に山がお好きなのが伝わってきますね。ちなみに、好きな山ってありますか?

山梨県の南アルプス北東部にある「鳳凰山」です。どちらかというと初心者向けの雪山なのですが、初めて登った雪山ということもあって印象深いですね。今までに登った一番高い山は南アルプス市にある3100メートル台の「北岳」で、これは日本第二の高峰です。ただ、山歩きの難易度や楽しさは単純に標高の高低で決まるものではないので……。

――なるほど、単純に高い山に登ったからすごい、ということではないんですね。では、今後登ってみたい山はありますか?

これから卒業するまでの間に絶対登っておきたいなと思っているのは富士山です。一度、冬の富士山の登頂で8合目あたりで状況が厳しくなって頂上まで登ることができなかったんです。今度こそ頂上まで登ってやるぞと思って、今年の年末から年明けあたりで計画している所です。

――やはり冬の富士山は登山慣れしていても難しい山なんですね……! ぜひ年末に登頂成功させて、ご来光を拝んできてください!

たしかに、31日に登ってご来光を見るというプランもありですね! 富士山に限らず、卒業までにできるだけたくさん登りたい山に登っておけたらいいなと思っています。

――本当に山づくしな学生生活なんですね。山以外にハマっていることは? 登山一筋ですか?

自転車に乗るのも好きなんですが、念入りに準備して向かわなくてはならない登山の反動なのか、計画を立てずに1日でどこまで走れるかふらっと出かけるのが好きですね。

あとはインドアな趣味だとアニメを見ることも多いですし、最近は自分がどれぐらいまで辛いものが食べられるか限界を知りたくて、アマゾンで片っ端から辛い食べ物を取り寄せるのに熱中しています!(笑)


■就職面接では「自然をやらせてください!」としか言わなかった

――岩崎さんは、山岳部での活動がキッカケでTV局に就職が決まったそうですね。

大学1年生の頃、山岳部のメンバーで雪山に登った時に、あるTV局が僕をメインにしたドキュメンタリー特集を組んでくれたのがそもそものキッカケです。そのとき撮影に同行していた山岳カメラマンの方に、仕事を手伝ってみないかと誘ってもらい、そこでTV制作スタッフの方や山のプロフェッショナルなど色々な方と親交を深めるうちに、TV番組制作への興味を持ちました。

――TV局に入ったら、やはり「山登り」の魅力を伝える番組を作りたいのですか?

山の素晴らしいところを伝える番組をゼロから自分で作っていきたいと思っているので、就職活動はあえて自然のコンテンツを扱っていないTV局を受けました。面接でも「自然番組をやらせてください!」としか言わなかったんです(笑)。

今は「どんな景色やどんな人間の表情が感動を生むのか」という視点を持って山に登っています。自然の中で困難に打ちのめされると、その人間の素の表情が出ることがあるんですよね。そういう「自然と人間」というテーマで番組を作りたいと思っています。

岩崎さんが撮影した写真。最近は山岳写真を撮ることにもハマっている

■夢は大きく、放送賞を狙っていきます!

――これからいよいよ社会に出て行く岩崎さんですが、将来の夢はなんですか?

自分の番組を作ることもそうなんですけど、ゆくゆくは放送の賞を獲りたいです! 「〇〇が出演してるから見よう」じゃなくて、「岩崎が作った番組だから見よう!」と思われるような制作者になるのが大きな夢です。

――最後に、岩崎さんと同年代で将来について迷っている人や、いま壁にぶつかって悩んでいる人へ向けてメッセージをお願いします!

最初に悩んでしまうのは、自分のやりたいことを「やるかやらないか」だと思うんです。でも、リスクを恐れずに、まずは一歩を踏み出してやってみる。どうせ最初は絶対失敗するんだから、それはそれで良しとして「悩んでいる暇があったらやる!」というのが僕の座右の銘でもあります。

――ありがとうございました。何にでもチャレンジ精神旺盛な岩崎さんなら、見る人に勇気や元気を与えてくれる番組を作ってくれることでしょう!

取材・文:サイドランチ

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