専門家に聞いた! 石油ってほんとに枯渇するの? 「50年後以上持つ」 (2/3ページ)
ただ、シェールオイルの採掘は原油価格が100ドルを超えているからこそできたことなのです。現在のように原油が40ドルといった価格では採算割れといわれています。
――つまり、シェールオイルはコストが高いと。
荒井さん それまで採掘できなかったところから原油を採取する技術ですからコストが高いのです。原油価格の低迷のため、(アメリカの)採掘リグの稼働数が減っているというデータがあります。また、既存の原油開発プロジェクトへの石油会社の投資も減少しているという現象が起こっています。
――ただ、現在は原油が余っている状況なのですね。
■現時点では「原油はあと52.5年持つ」と考えられる!
――あと何年原油が枯渇しないで持つか、という計算はどうやって行うのでしょうか。
荒井さん 採取できる原油がどれくらいの量あるかを「可採埋蔵量」といいますが、これと原油の生産量の、年ごとのデータがあります。生産量は消費量ですから、原油可採埋蔵量を生産量で割れば、(ざっくり)あと何年持つかが計算できるわけです。
1987年 原油可採埋蔵量:939 原油生産量:22.2 ⇒ 42.4年
2011年 原油可採埋蔵量:1,652.6 原油生産量:30.5 ⇒ 54.2年
*……単位は10億バレルです。
つまり、1987年では「あと42.4年で原油は枯渇する」と考えられましたが、その24年後の2011年には「あと54.2年で原油は枯渇する」と考えられたわけです。
――なるほど。
荒井さん このように、1987年と比較すると2011年では埋蔵量も生産量も増えています。これは先ほど申し上げたとおり、探査技術、開発技術の向上がもたらした結果なのです。最新データでは、
2014年末の原油可採埋蔵量:1,700.1
2014年の原油生産量:32.4
*……単位は10億バレルです。
となってますので、あと「52.5年」持つことになります。
■「石油は有限」という意識は変わらない!
――枯渇するという年がどんどん先に延びていっているのですね。