Twitterで人生終了? ”身元バレ”で会社をクビになる人が続出する背景 (3/3ページ)
過激すぎる言動は「就職に不利」との意見も
政治的な活動だけでなく、個人のモラル感情を発端にした事件も起きている。
11月下旬、 大手コンビニ・セブンイレブンの男性アルバイト店員が雑誌などを立ち読みした客を自身のTwitterで罵倒していると話題に。店員は立ち読みした客を「朝から仕事も行かず金も払わず漫画を読み耽るダメ人間」「夜中に店来て情報の窃盗を行う中年カップル」などと罵倒し、防犯カメラで撮影された顔写真や職務を通じて得た名前や住所などもさらしていた。
さらに客の免許証の写真や電子マネーの署名を公開したケースまであり、客の個人情報や車のナンバーをさらしたうえで「コイツを殺したら自腹で5万払おう!」と殺害依頼を書き込んだこともある。
程なく神奈川県内のセブンイレブンの30代店員であると判明し、セブン&アイ・ホールディングスは「顧客の信頼を大きく裏切る行為」と謝罪。当該人物は騒動発覚後の11月20日に退職した。
いずれも本人たちが「正義」にのっとって誰かに制裁を加えようとした結果だ。しかし、世の中には立場の違う人間がたくさんいるのだから絶対の正義はなく、いずれも「個人の思い込み」に過ぎない。それを互いに擦り合わせていくのが社会というものだが、他者の立場に鈍感な人間は「自分の正義は絶対」「同調しない人間は悪だから何をしてもいい」と勘違いしてしまう。
これが極まって職権乱用が疑われるケースまで起きており、企業にとっては雇用リスクが高くなってくる。
「SEALDsやデモへの参加が『就職に不利になる』というウワサが拡散されたことがありましたが、実際に最近は学生や転職希望者のSNSをチェックする人事部が珍しくなく、あまり過激な活動は敬遠対象。リベラル活動がダメというわけでなく、過激な言動の人物は敬遠したくなるのが人情です。もし会社の機密やリソースを悪用されたら、致命的なダメージになってしまいますからね」(企業人事担当者)
政治活動や個人の思いを表明するのは自由だが、一線を踏み越えた悪質な言動はネットでも現実と同じように手痛いシッペ返しを食らう。ネットの匿名性の高さが暴走を助長している部分もあるが、もはやネットなら身元がバレないという感覚は通用しない。
それでも「匿名だから安心」とTwitterで暴れる人たちが今後も現れるのだろうか。
- 佐藤勇馬(さとうゆうま)
- 個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、ネットや携帯電話の問題を中心に芸能、事件、サブカル、マンガ、プロレス、カルト宗教など幅広い分野で記事を執筆中。歌舞伎町や新大久保をホームグラウンドに飲み歩くのが唯一の楽しみ