幸せに生きていくために良い流れで循環させるべき「3つの能力」
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レビュー
『人は心理学で永遠に幸せになれる』(村松奈美著、ワニブックス)は、米メリーランド州立大学心理学部・メリーランド州立大学院カウンセリング学部で心理学を学び、現在は大手外資系企業の社員向けカウンセリングを行っているという臨床心理士による著作。
「永遠に幸せになれる」などと聞くと、よくあるプラス思考本や自己啓発書のようですが、そういうものとは無関係。
もちろん宗教や哲学とも異なり、れっきとした科学(心理学)なのだそうです。
■幸せの永久サイクル
本書で強調されているのは、「幸せの永久サイクルをつくってしまう」ことの重要性。
著者によれば、心は「行動」「感情」「思考」の3つから成り立っており、互いに影響を与えあっているのだといいます。
そして、これらの能力を使えば、置かれた状況に適応して生きていく力を十分に持っているのだとか。
また、それらのうちの、どれかひとつを「プラスの影響を与えられる存在」にすることができれば、やがて残りの2つもプラスに転じていくことが可能。
そのままサイクルが回り続けてプラスの影響が続いていくと、相乗効果によってさらにプラスの力が強くなり、その結果、マイナスの力が入る余地がなくなってしまうというわけです。
■3つの能力の良循環
ただ、私たち人間は貪欲であるだけに、ただ「生きていける」だけでは満足できず、「できることなら、幸せに生きていきたい」と願うものでもあります。
だから、そのためには「3つの能力を生かす」ことに加え、さらに「3つの能力の良循環」をつくり出す必要があるのだそうです。
「行動」「感情」「思考」の3つは循環してサイクルをつくっているので、よい流れで循環させることが、幸せに生きていくためのポイントになっていくという考え方。
つまり、自分にとってよい「行動」や体験をすれば、まずは「うれしい」「幸せ」といったプラスの「感情」が生まれることになります。
ついで、それが前向きな「思考」をつくり出し、その結果としてプラスの「感情」や前向きな「思考」が、さらに建設的な「行動(体験)につながっていくということ。
たとえば努力して資格試験に合格したとしたら、「うれしい」という「ポジティブ感情」が湧き、さらに「私もやればできるんだ」という「前向きな思考」が生まれることになります。すると、もっと努力するようになり、さらに難しい試験にもチャレンジできるようになるわけです。
■強固な良循環の流れ
また、上記のような「行動(体験)」→「感情」→「思考」という順序ではなく、「行動(体験)」→「思考」となり、そのあとに「感情」が生まれるパターンもよくあるのだとか。
健康診断を受けた結果、去年とくらべて体脂肪が減り、かわりに筋肉量が増えていたので(行動・体験)、「がんばってジョギングした成果だな」と思うと(思考)、自分自身に少し自信を持つことができ(感情)、食生活もヘルシー思考になった(行動・体験)というような流れ。
いわば「感情」「思考」「行動」はありとあらゆる方向でつながり、互いに影響を与え合っているということです。
重要なのは、この動きが永久に繰り返され、連鎖反応を起こすこと。先に触れたとおりプラスの影響は良循環によって強化され、さらに強いプラスの影響を与えるようになり、良循環はより強固な良循環をつくるというわけです。
■得意分野に時間使う
そして重要なポイントのひとつが、なるべく良循環につながるような、プラスの「行動」を選んでいくこと。でも、それはどういうものなのでしょうか?
まず挙げられるのが、「自分の得意なことに時間を使う」こと。
絵を描くことでも料理でも、人助けでも音楽でもなんでもOK。いずれにしても、自分の得意なことはどんどん力が伸びてよい結果が出るものなので、自然とよい気分になれるわけです。
同じく、好奇心や想像力がどんどんふくらんだり、結果を出して周囲からほめられたり、感謝されたりすることによっても、ポジティブ感情は生まれるもの。
それだけでなく自信もつくので、全体的な心の安定につながるといいます。
「得意なことを伸ばす」のが大切である一方には、「苦手なことを克服することが大事」という意見もあります。しかし著者は、この考え方に賛同できないそうです。
なぜなら得意なことと違って、苦手なことはどんなに努力したとしても、せいぜい人並みレベルくらいにしか引き上げることができないからだとか。
だとすれば、苦手なことの克服に時間とエネルギーを使うより、得意なことを伸ばすために時間を有効活用した方が、はるかに生産的で賢明だということです。
■短所に目を向けない
また精神的な意味においても、あまり自分の短所やネガティブなことにばかり目を向けていると、うまくいかないことの連続になってしまいがち。そして、劣等感などのネガティブ感情ばかり味わうことになるといいます。
もちろん「苦手なことを克服した」という体験は、自信につながるもの。
しかし苦手なことに意識を集中させると、全体的には自尊感情を低下させてしまうこともあるのだとか。
そう考えると、やはり得意なことに意識を集中させた方がいいということになるわけです。
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書かれていることはとてもシンプルなので、ポジティブなサイクルをすぐに身につけられるはず。
気になった方は、ぜひ手にとってみてください。
(文/書評家・印南敦史)
【参考】
※村松奈美(2015)『人は心理学で永遠に幸せになれる』ワニブックス