国会議員の育休取得で蓮舫議員が大炎上の一部始終|やまもといちろうコラム (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

岡田克也代表「違和感のある話」

 ここで「私は全く理解できない」と言い切ってしまうと、補足事項その他が出てきたときに言い逃れもできないんですよね。この文言だと「給与全額保証の育休」に反対だというネタになってしまいます。現状で話を進めるべき「子供を生みたい男女に対して配慮するため、国が制度として育休を普及させ、給与は保証するべき」という話と逆行するため、フルスイングで叩かれることになるのですね。

 他方、国会議員というのは被雇用者ではないだけではなく、普通の個人事業主でもない、特別公務員としての立場を持ちます。そもそも、国会議員は「国会議員はその本来の職務に専念すべきである」のであって、字義的にそのまま読めば個人的な事情、例えば出産や育児で育休が欲しいといわれても「国政に専念できない国会議員は欠格なのだから、職を辞して育児してください」といわれても仕方のない部分はあります。一方、育休といわずとも国会本会議をサボりまくる議員もいないわけではないので、そのあたりは適当なんだよね、でも制度として育休は認められないよね、という議論も成立するのです。

 その場合、やはり問題となるのは採決です。そもそも国会議員は代議制民主主義の精神に則って国民の請託を受け国政で代弁をするからこそ特別公務員として国の歳費で活動しているのであって、どのような理由であれ採決に参席できないというのはやはり「出産育児が本当に大変だというのであれば、議員を辞めてください」となるわけです。

 そこへ、例えばデンマークでは国会議員の育休が認められているなどの海外事例も出てくるんですけど、デンマーク王国憲法に定められた国民の義務そのものが日本のそれと異なるので、同列に比べるのもどうなのかなと思います。どちらが進んでいるという話ではなく、お国柄、国民事情がかなり異なるので、デンマークに議員の育休があるから日本も認めるべきだというならば、デンマークには国防の義務(兵役に資する男性は徴兵に応じなければならない)があるので日本も導入するべきという話になってしまいます。そもそも、デンマークは所得税55%、低所得者に対する控除なし、消費税25%で、530万人の国に薄給の国会議員が179人もいるわけでして、そもそもの社会的な前提条件が違いすぎます。もしもデンマークのようにしたいのであれば、消費税値上げも安保法制も大賛成のうえで、育休も含めた社会制度を充実させろという話にならざるを得ないのです。

 結局、この炎上に引きずられる格好で、民主党全体が岡田克也代表の発表で新聞沙汰になってしまいました。ここで民主党代表として岡田さんが「おめでとうございまーす」とでも言っていれば波風も立たなかったものを、なんか途中で安い手牌がドラ乗って満貫になってしまった感がするわけです。

議員の育休取得に民主反発 岡田代表「違和感のある話」、蓮舫代表代行「全く理解できない」

 なんかこの年の瀬も押し迫ったところで、いちいちセンスのない話だなあと。これで野党再編とかして大丈夫なのかと思ってしまいました、はい。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

「国会議員の育休取得で蓮舫議員が大炎上の一部始終|やまもといちろうコラム」のページです。デイリーニュースオンラインは、育休蓮舫やまもといちろう連載などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る