Amazonお坊さん便に中止要請…“お布施の明朗化”が猛反対されるワケ (3/3ページ)
猛反発の本当の理由は「非課税特権」?
仏教会の反発は「宗教は商業サービスではない」という建前だけでなく、そのウラには切実な事情が絡んでいる。最近はどこのお寺でも、少子高齢化や仏教離れによって檀家が減少。新規事業者に仕事を奪われると厳しいという危機感がある。
さらに、それ以上に仏教団体が危惧しているのが「非課税特権」の存在だという。
「お布施や戒名料などは対価ではなく喜捨(寄付)と見なされ、基本的に非課税。宗教施設についても不動産取得税、固定資産税が掛からない。しかし民間事業者の価格明示によって『お布施はサービスの対価』と判断されると、税制優遇の根拠が揺らいでしまう。もし税制優遇を廃止すれば4兆円の財源が生まれるとの試算もあり、実際に納骨堂などが課税対象と判断されたケースが出てきているので仏教界はナーバスになっているんです」(仏教関係者)
なぜ利用者に不安がられても頑なに寺院側が「料金の明示」をしないかといえば、具体的な価格を提示してしまうと「商取引」とみなされて課税対象になる恐れがあるからだ。
新規事業者の価格明示によって伝統が崩れれば、最大の特権である税制優遇が廃止されてしまう危険性がある。そう考えると齋藤理事長が「お布施はサービス対価ではない」「宗教行為はサービス商品ではない」と繰り返し強調していた理由も透けて見える。
いずれにせよ、今までのように「独占市場」にあぐらをかいてはいられない。仏教界に大きな変革の波が訪れているのは間違いないだろう。
- 佐藤勇馬(さとうゆうま)
- 個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、ネットや携帯電話の問題を中心に芸能、事件、サブカル、マンガ、プロレス、カルト宗教など幅広い分野で記事を執筆中。歌舞伎町や新大久保をホームグラウンドに飲み歩くのが唯一の楽しみ