【プロ野球】巨人・高橋、阪神・金本…長期政権にするための絶対条件とは?
2015年、ヤクルト真中満・ソフトバンク工藤公康と、両リーグとも就任初年度の監督がペナントを制したが、初年度の優勝は実に貴重な功績だ。
というのも、就任即優勝を果たすと、長期政権がほぼ約束されるからだ。
就任初年度にチームを優勝させた監督の、指揮官としての在籍年数は以下のようになる(ドラフト導入後に監督を務めた人物限定)。
- 西本幸雄 大毎・1960年(1年+11年+8年)
- 川上哲治 巨人・1961年(14年)
- 古葉竹識 広島・1975年(11年+3年)
- 藤田元司 巨人・1981年(3年+4年)
- 広岡達朗 西武・1982年(4年+4年)
- 吉田義男 阪神・1985年(3年+5年)
- 森 祇晶 西武・1986年(9年+2年)
- 阿南準郎 広島・1986年(3年)
- 権藤 博 横浜・1998年(3年)
- 原 辰徳 巨人・2002年(2年+10年)
- 伊原春樹 西武・2002年(2年+1年+1年)
- 落合博満 中日・2004年(8年)
- 伊東 勤 西武・2004年(4年+3年)
- 渡辺久信 西武・2008年(6年)
- 栗山英樹 日本ハム・2012年(4年)
- 真中 満 ヤクルト・2015年(2年)
- 工藤公康 ソフトバンク・2015年(2年)
巨人V9・川上哲治や悲運の名将・西本幸雄、知性派監督・森祇晶など錚々たる名将が「就任即優勝」を果たし、その結果、10年以上の監督生活をおくっている。
「初年度に優勝すると、監督としての評価は如実に上がるね。『アイツはできる』となり、その後3年ぐらい優勝できなくとも、球団はクビにしたりしないよ」(あるプロ野球評論家)
1975年に広島を初優勝させた古葉竹識など、初年度Vがきっかけで名将の道を歩んだ典型例だ。途中退任したルーツ監督の後を受けて監督となった古葉だが、当時は無名の代理監督。11年もの長きに渡り指揮を執るなど、広島ファンでも想像できなかったものだ。
近年でも、2008年に西武を日本一に導いた渡辺久信など、その後は優勝を果たせなかったが合計6年間も監督を務めた。現役監督をみても、2012年に日本ハムを優勝させた栗山英樹は2016年で5年目となる。
阿南準郎や権藤博のような「つなぎ監督」も数名いるが、それ以外は例外なく6年以上に渡り指揮を執っている。
2015年の優勝監督である真中・工藤両監督とも、長期政権が約束されたも同然かもしれない。
唯一の例外だった王貞治
また、連続して10年以上、1球団の指揮を執った監督には以下の8名がいる(順位は就任初年度)。
- 鶴岡一人 南海・23年 優勝
- 王 貞治 ダイエー・ソフトバンク 14年 5位
- 川上哲治 巨人・14年 日本一
- 西本幸雄 阪急・11年 最下位
- 水原 茂 巨人・11年 3位
- 古葉竹識 広島・11年 優勝
- 上田利治 阪急・10年 2位
- 原 辰徳 巨人・10年 4位
8人中3人が優勝、2人がAクラス入りを果たしているが、Bクラスに終わった西本監督と原監督も、監督就任1年目(西本=大毎、原=第1次政権)に優勝させた実績があった。
やはり、就任初年度にチームを優勝させると、周囲の見方も劇的に変わり、長い政権が築かれていくようだ。
例外は王貞治だろう。巨人では就任後3年間優勝できず、2度目の監督就任となったダイエーでも優勝まで5年を要している。
巨人・高橋由伸、阪神・金本知憲、DeNA・ラミレス、楽天・梨田昌孝、オリックス・福良淳一と来季は5人の新監督がタクトをふるう。近鉄と日本ハムで優勝歴のある梨田監督以外の4人は文字通り新監督だが、「即優勝」を果たせる監督はいるだろうか(文中敬称略)。
- 小川隆行(おがわたかゆき)
- 編集者&ライター。『プロ野球 タブーの真相』(宝島社刊)シリーズなど、これまでプロ野球関連のムックを50冊以上手がけている。数多くのプロ野球選手、元選手と交流がある