所得、雇用、学歴…激売れ本でわかった東京23区の仰天格差

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所得、雇用、学歴…激売れ本でわかった東京23区の仰天格差

 港区904万円、足立区323万円。区民1人あたりの所得水準までをも記した本が激売れ中だ。所得、雇用、学歴‥‥。あらゆる方向から23区を解剖した結果、浮かび上がる仰天の格差とは──。

 同じ東京23区内にもかかわらず、3倍にも及ぶ所得格差が隠れている。知られざる格差に焦点を当てた「23区格差」(中央公論新社)の著者である池田利道氏がその要因を語る。

「23区全てが日本の平均所得水準を大幅に上回っています。それだけ生活にお金が必要な証拠ですが、中でも港区は地価が高く、生活費も高い。しかし、港区民は経済的価値よりも都心に暮らすという生活価値を重要視して、そこに住んでいる。都心ライフとも呼ばれる新たな生活様式を体現した結果です」

 23区平均の約2倍となる「交通事故遭遇危険性」を誇る渋谷区、同様に2倍の「刑法犯罪遭遇危険性」がある新宿区。「災害時の死者発生危険度」の高さで、墨田区、台東区、荒川区が拮抗するなど、多岐にわたる調査項目で23区を比較した結果が掲載されている。

 特筆すべきは、数値が高くとも内情は区により大幅に異なること。その代表として「高齢化率」があげられる。高齢化率24.0%で23区内1位の北区と23.6%で同2位の台東区。両区ともに高齢者だらけだが、2区における高齢者の生活形態は大幅に異なる。

「台東区は『高齢者の就業率』が23区内で2番目に高いんです。一方で、北区は最下位。高齢者就業率の高さは所得水準が低いからではないかと指摘されますが、同項目で1位の千代田区は港区の次に高所得な区。これはもう区の個性なんです。生業の町である台東区は高齢者が現役で働いている。それに触発され、退職したサラリーマンも『まだまだ働かないと』という気持ちになる。しかし、すんなりリタイアする人が多い区に住むと、労働への意欲が減退してしまうのです」(池田氏)

 老後の生き方の選択は個々人に委ねられる。悠々自適な生活を送りたければ老人クラブが盛んな下町地域を選ぶべきだと、池田氏は続ける。

「一番は自分に合った区を選ぶべきです。下町のような家族ぐるみの人間関係に耐えられるのか。逆に見栄やプライドに目を奪われ妙な呪縛にかかってもいけません。若いうちから自分の老後を考えるのは今後重要なテーマになるでしょう」

 千差万別の様相を見せる23区。定住文化が根強い日本人にとって居住地選択は、その後の人生を左右すると言っても過言ではない。本書はその一助となるべく23区全ての特徴を通信簿としてまとめている。「ロックの高円寺」「ジャズの阿佐ヶ谷」を有し、「文化のまち」と称される杉並区は細街路が多く、親と同居する25~44歳の未婚男性が多い。加えて、同区内の浜田山から永福の一帯は「日本でポルシェが一番よく売れる街」と呼ばれていることから杉並区を〈パラサイト男子が狭い道路をポルシェでかけぬける〉と評し、まるで“すねかじり天国”と言わんばかりだ。

 14年5月に日本創成会議が「全国1750市区町村のうち半分以上が消滅する」と発表した。その中に23区で唯一リストアップされてしまった豊島区について、〈23区最大の男余り社会〉とし、結婚適齢期の男女比で男性が著しく多いというデータを紹介している。当然それが、「まち」の消滅に直結するわけではない。だが、「まちづくり」に従事し続けた池田氏ならではの視点からは、区の新たな格差が浮かび上がる。

「こういった格差を浮かび上がらすことに批判はあります。ですが、格差に『まち』の動きが加われば個性に変えることができるのです。それができているからこそ、自分なりの幸せや充実をつかめる区が見つかる。その懐の深さこそ、今も未来も東京が勝ち残っていける要因なのです」

 地方創生を成功に導く秘訣は首都東京にある。

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