「富士山帰属問題」と観光PR合戦。山梨と静岡、果てしなき攻防 (1/3ページ)
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2015年11月21日、インドネシアの首都ジャカルタ。
高級ショッピングモール『セントラル・パークモール』にて、現地市民の日本旅行を促すための『ジャパン・トラベルフェア』が開催された。このイベントには日系旅行業者や日本の各自治体観光局がブースを出し、“おらが町”の魅力を大々的にアピールした。
その中でも突出した存在感を発揮したのが、甲府市のブースだった。
甲府市、というより山梨県下の自治体は、外国人旅客の誘致に熱心だ。山梨にはまず富士山があり、それに伴う自然があり、特産物もある。そのPR活動は、まさに官民合わせた一大事業となっている。
だがそれは、隣接する静岡県との“富士山戦争”を再燃させるものだった。
■ 富士を仰ぐ両県の明暗
富士山頂の行政区域はどこ?
実はこの問題は、未だ決着がついていない。公式には“境界未定地”となっているのだ。
これは日本独特の「和を以て貴しとなす」発想によるもの、ではない。両県の住民感情に配慮した結果だ。日本の象徴である富士山は、そうであるが故に「山頂をどこの行政区にするのか」を決めることができないのだ。
例えば去年、国土地理院製作の電子地図が山梨県で問題になった。富士山頂の住所が「静岡県富士宮市」になっていたからだ。これに対して、山梨県の横内正明知事(当時)が、地理院への抗議とも取れる声明を発表している。
富士山入山料の問題も、大いに揉めた。観光収入を念頭に置く山梨県と、環境保護を全面に出す静岡県。金額の調整、山開きの日程、入山料徴収を任意にするか強制にするかなどで、毎年議論を繰り広げている。
水と油のようなその思惑は、観光政策の違いにも表れている。
観光客誘致に大変熱心な山梨県に比べ、静岡県はそうしたことに重きを置かないのが現状だ。これには静岡県が、日本有数の重工業地帯だということが影響している。