鬼太郎だけじゃない! 今読むべき水木しげる先生の傑作漫画5選 (2/2ページ)

学生の窓口

元々は、1930年代に「ハカバキタロー」という人気の紙芝居があり、これを題材に漫画を……と勧められた水木先生が紙芝居作品を制作したのが鬼太郎の原点といわれます。

その後、水木先生は1960年に貸本漫画で『墓場鬼太郎』という短編漫画集を描きます。1965年には『週刊少年マガジン』に「墓場の鬼太郎」の一遍が掲載。1967年に正式連載になり、それまでの怪談譚ではなく、鬼太郎を「妖怪ハンター」の役に据えたシリーズになります。

1968年にはアニメ化(これが第1シリーズ)され、子供たちから絶大な支持を受けました。アニメ化に際してタイトルが『ゲゲゲの鬼太郎』と変更されました(1969年には少年マガジンの連載タイトルも変更)。『たのしい幼稚園』など各誌で連載されたため、鬼太郎の人気は不動のものとなりました。

●『劇画ヒットラー』

ナチス党を率いてドイツを戦争に導いたアドルフ・ヒトラーの生涯を描いた作品です。画家志望の貧乏な青年「アドルフ・ヒットラー」はあちこちを放浪する生活を送っていました。愛国心から第一次世界大戦に参加したヒットラーは敗戦により傷心。この挫折から政治家を志し「ドイツ労働者党」(ナチスの前身)に入党するのです……。

水木先生の味なのですが、激動の時代を生きたヒトラーをどこかのんびりとあっけらかんとした印象で描いています。水木先生の「ヒットラー」は人間くさい味のあるキャラクターですが、その狂気は見事に表現されています。

●『総員玉砕せよ!』

1943年(昭和18年)末、主人公・丸山二等兵は二ューブリテン島のココボにいました。田所少佐の指揮の下、丸山を含む500名の部隊はバイエンに上陸します。バイエンへの連合軍の攻勢が激しくなり、劣勢の日本軍は追い詰められていきます。ついには玉砕命令が出るのですが……というストーリーです。

実際に一兵士として召集され、南方戦線で戦った水木しげる先生の実体験を基に描かれた作品です。この作品には、実際の戦場を体験した人にしか描けない、リアルで残酷な現実があります。過酷極まりないストーリーですが、水木先生の筆致は淡々と、まるでドキュメンタリーのように進みます。一兵士が見た現実の戦争を自ら描いた漫画という点で、得難い作品です。

水木先生が亡くなられたとき、ネットには「なぜだか全然亡くなった感じがしない」という書き込みがありました。生前あれだけ霊界、妖怪の話を描かれた先生ですので、皆さんがそう思われるのも無理はないかもしれません。きっと今頃、鬼太郎やねずみ男と一緒に宴会でも開いていらっしゃるのではないでしょうか。

(高橋モータース@dcp)

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