金正恩氏が中国に仕掛けた「核のワナ」 (2/3ページ)

デイリーNKジャパン

既にモランボン楽団の公演(12日)が決まっていたにも関わらず、直前の10日、金正恩氏は「(北朝鮮が)水素爆弾の巨大な爆音を響かせることのできる強大な核保有国になることができた」と、水爆に言及したのだ。

核を認めるわけにはいかない中国は、即座に不快感を示すが、公演の準備は既に進められていた。それだけに、中国も公演を中止するというわけにはいかなかっただろう。

そして、モランボン楽団公演初日の12月12日、金正恩氏は第3、最後のワナを仕掛けた。

金正恩氏が最高指導者に就任して以来、最大の成果といえる長距離弾道ミサイル「銀河3号」の発射映像をモランボン楽団の公演で流すというワナだ。銀河3号の発射日は12月12日。まさに、モランボン楽団公演の初日だった。

整理すると、(1)党創建記念日に中国共産党要人を招き入れ、ミサイル発射を取りやめて、モランボン楽団を派遣(2)公演直前に水爆に言及する(3)モランボン楽団の公演でミサイル発射を称える映像を流すーー極めて巧妙なワナといえる。

中国が、このワナにはまっていれば、北朝鮮の核・ミサイルを「黙認」したかのような既成事実を押しつけられ、国際社会で大恥をかいていただろう。しかし、寸前になって中国はこのワナに気づき、モランボン楽団の公演はドタキャンされることとなった。

そして、年明け早々、北朝鮮は核実験を強行した。

水爆実験の翌7日、北朝鮮は核実験を正当化する論説を展開しているが、そのなかに気になるくだりがある。

「これまで、米国の核脅威・恐喝を受けるわが国をどの国も救おうとしなかったし、同情もしなかった」

米国だけでなく、国際社会に責任があると言わんばかりの主張だが、「どの国も」というのは実は、中国に対する当て付けではなかろうか。

反米を声高に叫ぶ裏には、友人のふりをして手を差し伸べるふりをしながらも、決定的な局面では、冷たい態度を取る中国に対する反発が隠されているようだ。

今回の核実験によって、中朝関係の改善は振り出しに戻った。

「金正恩氏が中国に仕掛けた「核のワナ」」のページです。デイリーニュースオンラインは、高英起デイリーNKエネルギーニュースエンタメ海外などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る