毎年多くの被害が……迷惑なカラス対策には「超音波スピーカー」が効果的ってほんと?

日本のいたるところで見かける「カラス」。童謡にも登場するほど身近な存在なのに、ゴミや農作物を荒らす嫌われ者。追い払うのに多大なエネルギーを使っている農家が多いのはご存じでしょうか?
カラスの鳴き声には意味があり、敵に襲われた、相手を威嚇するときには「危険」を伝える鳴き方に変わり、これを録音して聞かせるとカラスが寄りつかなくなることがわかりました。ただし大音量で流し続けると人間にも大迷惑……。そこでごく限られた範囲でしか音が聞こえない「超音波スピーカー」を使ったところ、より遠くまで「カラスよけ」できることがわかったのです。
■カラスは自分の鳴き声が苦手?
都心部で「カラス」が話題になるのは、ゴミを荒らす、鳴き声がうるさいなどが一般的ですが、農家では深刻な問題で、毎年20億円もの被害にあっています。「かかし」や「音」が定番の対策方法ですが、効果があるのは短期間で、危険がないとわかると怖がらなくなり、また農作物を荒らすようになってしまいます。これはカラスの学習能力が高いからで、脳vsからだの大きさを表す脳化(のうか)指数はイヌ/ネコ以上とかしこいため、追い払うのもひと苦労。そこで、知能の高さを逆手にとって、カラスの鳴き声を使って追い払う方法が研究されているのです。
カラスの鳴き方には、
・互いの位置を知らせるなどの「日常会話」
・天敵に襲われるなどの「緊急事態」
があり、後者を聞いたカラスは上空を旋回したり、止まっているところに「くちばし」をこすりつけるなど落ち着かないようすを見せ、この状態が続くとやがて寄りつかなくなることがわかりました。つまり、自分の鳴き声によって行動がコントロールされてしまうのです。いくらかしこいカラスでも、知恵比べでは人間のほうが上手ですね。
■超音波スピーカーで、うるさい場所を限定
ただしこの方法には欠点があり、大音量で流せば人間も参ってしまいますし、小さな音では狭い範囲しか追い払えません。そこで注目されているのが「超音波スピーカー」との組み合わせで、ごく限られた範囲にだけ音を伝えるため、ピンポイントで対応できるのです。
超音波スピーカーはパラメトリック・スピーカーとも呼ばれ、狭い範囲にしか音が届かないのが特徴。光に例えるなら、一般的なスピーカーは天井の照明器具のように拡散するのに対し、超音波スピーカーはスポットライトのように一点を照らすような仕組みのため、少し場所をずらすだけで聞こえる音量が大きく変わります。つまりカラスを追い払いたい場所はにぎやかでも、それ以外のところでは騒音にさらされずに済むのです。
同じ音量で鳴き声を流したところ、うるさい場所でも、
・一般的なスピーカー … 10m
・超音波スピーカー … 50m
先のカラスが反応したというデータもあり、超音波スピーカーの圧勝ですね。音量を上げれば電気代もバカになりませんので、ムダなエネルギーを使わずに済むのも大きなメリットといえるでしょう。
なお、本来の超音波は、人間が聞こえない高い音を意味するので、ひとが聞こえる音+超音波スピーカーでは矛盾が生じますが、音を直線的に進める技術に超音波が使われているのが名前の由来です。この技術を使えば、電車内でもヘッドホンなしで「自分だけ」音楽が楽しめるようになりますから、はやく製品化されることを期待しましょう。
■まとめ
・毎年20億円規模の農作物被害が、カラスによって起きている
・危険を知らせる「鳴き声」を使って、カラスを追い払う研究がなされている
・超音波スピーカーを使うと、同じ音量でも5倍も遠くのカラスを追い払える
(関口 寿/ガリレオワークス)