その案は3秒で説明できる?ひっくり返した企画を納得させる方法
周囲に納得してもらえるような企画を生み出すのは、決して楽なことではないでしょう。
しかし、『企画はひっくり返すだけ! 「離婚式」「涙活」を成功させたぼくのアイデア術』(寺井広樹著、CCCメディアハウス)の著者によれば、企画を出す際には重要なポイントがあるのだとか。
タイトルからも想像できると思いますが、それは既存の価値観を「ひっくり返す」こと。
もし自分のなかにオリジナルの発想がなかったとしても、決して悲観する必要はなし。
既存の考え方を「ひっくり返す」テクニックさえ身につけることができれば、おもしろいアイデア、珍しいアイデアを簡単に生み出すことができるというわけです。
そして、その考え方には裏づけがあります。なにしろ著者自身が、そうすることで成功を収めているのです。
ちなみに著者は「涙活プロデューサー」「離婚式プランナー」「試し書きコレクター」と、珍しい肩書きの持ち主でもあります。
いったいどういうことなのでしょうか? まずはひとつひとつを確認してみましょう。
■涙活も笑顔葬もひっくり返したもの
まず「涙活」は、泣ける動画や映画、音楽、絵本などによって積極的・能動的に涙を流す活動。
マイナスでネガティブなこととして捉えられがちな「涙」「泣く」ということについての価値観をひっくり返し、「ストレス解消に役立つプラスでポジティブなこと」に転化したわけです。
月に1、2度のペースで涙活イベントを行っており、映画や楽曲など「泣けるコンテンツ」とのコラボ企画も開催して好評を博しているのだとか。
「離婚式」は、「結婚式があるのに、離婚式がないのはなぜなんだろう?」という、著者の子どものころからの疑問を原点としたもの。
離婚後はさまざまな噂話に苦しめられることも少なくありませんが、離婚式で「公式声明」を出すことが、それを防ぐ役目も果たすのではないかと考えたのだそうです。
突拍子もない考えのようにも思えますが、このひっくり返した発想が評価され、6年間で300組以上の離婚式をプランニングしてきたというのですから驚きです。
そして「笑顔葬」とは、「静かにしめやかに涙とともにお見送りする」のが一般的だった葬儀を、思い切りひっくり返したもの。
別名「騒式」ともいうそうですが、つまりは明るく楽しく、笑顔で盛大に亡くなった人をお見送りする葬儀です。
つまり、「いまあるものをひっくり返す」だけで唯一無二のオリジナルコンテンツができてしまうとは、こういうことなのです。
■3秒で説明できるものを目指すべし
また著者は、ひっくり返す際に重要なのは「それを3秒で説明できるか」ということだと主張しています。
たとえば、「えっ、それなに?」と興味を持ってもらえたとしたら、すかさず3秒で全体像を説明しなければいけないということ。
それができるか、ダラダラ説明しないと内容が示せないのとでは雲泥の差だといいます。
たとえば、上記の3つの企画を3秒で説明するとなると、次のようになるとか。
「離婚式=結婚式の反対の式」
「涙活=能動的に涙を流す活動」
「笑顔葬=笑って明るく見送る葬儀」
これ以上の説明を付け足したいのなら、興味を持ってくれた相手にゆっくりすればよいという考え方です。
そして、「3秒で説明できる」とはどのようなものかと考えていくと、結局のところは「シンプルなもの」に行き着くといいます。
たとえば「奇抜・斬新なことをしている」と思われがちだという著者は、実はそうではないのだといいます。
「結婚式があるから離婚式」「みんなで集まって泣く」「笑顔で葬儀をする」など、どれも既存のものをひっくり返しているだけで、実際にはシンプルなことしかしていないというわけです。
■わざわざ奇をてらう必要は全くない
奇をてらったことや、エッジの効いたことには、たしかに人を惹きつける力があるでしょう。
著者もそれは認めていますが、しかし、行き過ぎると危険だともいいます。なぜなら、それは限られた人にしか受けなくなってしまうから。
だからこそ、もしも今後広めたい企画や活動があるのだとしたら、内容を3秒できるか試してみるべきだと著者。
難しければまだ熟考の必要があるということですし、3秒でわかりやすく説明できたとしたら、これからブームを起こすためのひとつの条件がクリアされたといえるそうです。
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本書を語るに当たって重要なポイントは、ここに書かれていることが、決して特別な人にしかできないことではないということ。柔軟な発想力さえ持つことができれば、誰にでも応用できることなのです。
(文/書評家・印南敦史)
【参考】
※寺井広樹(2015)『企画はひっくり返すだけ! 「離婚式」「涙活」を成功させたぼくのアイデア術』CCCメディアハウス