金正恩が見限られた? 中国が企む北朝鮮「金正男体制」の全貌 (2/3ページ)
とはいえ、世襲に反対する中国の後押しで正男氏が4代目になったとしたら、さすがに5代目は金一族以外から選ばざるをえない。
正男氏は自らの手で“金王朝”の崩壊を招くことになるのだ。一方で、「正男氏に親中派の補佐役をつけることによって、中国は世襲の弊害を担保できるし、北朝鮮に親中政権を誕生させることもできると考えています」(前同) その考えがあったのか、故・金正日氏の存命時より中国は後継候補として正男氏を支持。実際に、正男氏が後継レースのトップを走っていた時期もあった。「しかし、逆転して弟の正恩氏が後継者となると、その後、韓国で正男氏の暗殺報道が相次ぎました。まずは訪問中のオーストリアでは、オーストリア政府によって命を救われ、別の計画では中国当局が暗殺を阻止したといわれています」(ソウル在住邦人)
その過去ゆえか、北朝鮮事情に詳しいジャーナリストの惠谷治氏によると、「金正男氏が平壌に帰ることはない。つまり、彼自身、父親の後を継ぐ意思はないと思いますよ」と言う。実際、正男氏は北朝鮮の後継者問題が浮上する前からマカオを拠点にしていたが、一時、平壌に戻り、正恩氏に祝意を述べたといわれる。北朝鮮の新たな指導者に就任した弟に頭を垂れた格好だ。
「正男氏は、自身のビジネス(口利きや投資など)の他、北朝鮮本国から支給される“王子手当”、さらに北朝鮮から運用を任されたファンドの“上がり”の一部を収入にしていました。ところが、張氏の粛清以来、ファンド運用の仕事がなくなり、“王子手当”も、弟(正恩氏)の決済に移ってしまった。こうして正男氏は、今まで以上に平壌の顔色をうかがうようになったのです」(井野氏)
これで経済的にも追い込まれたはずだが、意外や意外、こんな情報もある。「正男氏がマカオのマンションに住んでいたのは有名ですが、同じマカオ市内の戸建てへ引っ越したというんです。別名義で入居していますが、ヨーロッパ留学中の子息が往来していたことなどから、確認されている話です」(マカオ情報筋)
そのマカオは言うまでもなく、中国の特別行政区。「正男氏には北朝鮮の監視の目が光っている」(井野氏)とされる一方で、「北京もなんらかの名目で正男氏に金銭的な援助を行っているはず」(惠谷氏)という。