毎食後に歯磨きはNG?! 歯科医に虫歯予防にまつわる疑問を聞いてみた!

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子どもの頃からむし歯には気をつけなさいと、親によく言われたきた人は多いのではないでしょうか? むし歯予防=歯磨きというイメージがありますが何回も食後毎に歯磨きをしても実はあまり意味がないという噂が……! 「むし歯は初期段階であれば自然に治すことができます。最も予防しやすい病気の一つなんですよ」とお話しする歯学博士かつ江上歯科(大阪市北区)の院長の江上一郎院長さんに詳しく聞いてみました。

■食後は、つまようじや歯ブラシで食べかすをとるだけでOK

Q1. 食後はすぐに歯を磨かないとむし歯になる?
江上医師 × むし歯予防の要は「だ液」です。だ液には、むし歯にならないよう細菌の増殖を防ぐ働きや、歯を保護する膜を作る作用があります。
食後はだ液の分泌量が増えているので、歯を磨くとだ液の分泌が抑制されます。最近、「食後に歯磨き剤を使ってゴシゴシと磨く必要はない」ということが分かっています。食後は、「つまようじや歯間ブラシで食べかすを除く」だけでかまいません。歯磨きは「起床時すぐと就寝前の1日2回」、ていねいに磨けば、むし虫や歯周病の予防になります。

Q2. 歯磨き剤は泡立てるほど汚れが取れて、むし歯を予防できる?
江上医師 × むし歯や歯周病、口臭などの原因となるのは、歯の表面に付着して増殖する細菌のかたまりの「歯垢(しこう。プラーク)」です。この歯垢をとることが、むし歯予防になります。
歯垢は歯磨き剤の泡で落ちるのではありません。つまり、洗濯機に洗剤をたくさん入れて泡立てたからといって汚れが落ちるのではなく、適量を入れると洗剤の能力が最大限に発揮できるのと同じことです。
市販の歯磨き粉の多くは、泡立ちをよくする界面活性剤や研磨剤が入っており、確かに歯はきれいになります。しかし、硬い歯と軟らかい粘膜を同時に磨くので、軟らかい歯ぐきや粘膜は荒れて傷付きやすくなります。すると、口の中の菌が、そのはがれた粘膜を栄養にして増殖していきます。「歯ブラシの端から端まで歯磨き剤をつける必要はなく、米粒一粒ほどの量」で充分です。

Q3. 甘いものを食べなければ、むし歯にならない?
江上医師 × むし歯とは、細菌が糖分をエサにして作り出した酸によって、歯の表面が溶け出した状態です。
甘いものに含まれる砂糖の主成分の「ショ糖」だけでなく、炭水化物が消化されてできる「ブドウ糖」や果実に含まれる「果糖」など、私たちが口にする食品の多くには「糖分」が含まれています。
ですから、食事のたびに酸は作られているので、甘いものさえ食べなければむし歯にならないとは言えません。
また、ノンシュガーと表記のあるお菓子や飲料でも、全く砂糖を使っていないわけではありません。栄養表示基準の制度上、含まれる糖類が0.5%未満であればノンシュガーという表示が許可されるため、微量でも含まれる場合があります。むし歯予防にとってこれは見逃せませんので注意してください。

Q4. 一度に食べるより、何度かに分けて食事する方がむし歯になりにくい?
江上医師 × Q3の通り、食事のたびに酸が作られるので、口の中は酸性化し、歯の主成分のカルシウムは溶け出します。ですが、30~40分程度経つと、だ液の力によって酸が中和され、だ液中のカルシウムやリンが歯の表面に戻ります。3時間も経つと、歯の表面は修復されます。これを「歯の再石灰化」と呼び、むし歯予防のポイントになります。
ただし、何度も間食やジュースを取ると、口の中が酸性になっている時間が長く、修復が間に合わずにむし歯ができやすくなります。
つまり、食事の回数が多いほどむし歯になりやすいと言えます。食事の間隔は、目安として3時間以上をあけることをお勧めします。

これまでは、歯磨きは毎食後に行うものだと考えられていましたが、いまはもう、「起床時すぐと就寝前の1日2回の歯磨き」こそがむし歯予防に有効だと分かっているそうです。また、だ液の分泌を抑えるので、歯磨き剤をたっぷり付けるのはNG、さらに、甘い物をひかえる、食事の回数を増やすことはむし歯予防になっていないということです。歯磨きの新常識、ぜひ参考にしてください。
(岩田なつき/ユンブル)

取材協力・監修 江上一郎氏。歯学博士。専門は口腔(こうくう)衛生。歯科・歯科口腔外科・口臭治療の江上歯科院長。江上歯科 大阪市北区中津3-6-6 阪急中津駅から徒歩1分、御堂筋線中津駅から徒歩4分http://www.egami.ne.jp/

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