空気の乾燥がつらい! ​耳鼻咽喉科専門医が教える、冬ののどの痛み&イガイガ対策のポイント

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暖房が効いた室内や車内など、空気の乾燥が気になるところでは、のどの痛みやイガイガするような不快感を覚えます。そこで、耳鼻咽喉科専門医でとおやま耳鼻咽喉科(大阪市都島区)の院長の遠山祐司さんに、のどをケアするための有効な方法についてくわしく聞きました。

■気温が15度以下、湿度が40%以下になるとのどに異変が起こる

――空気が乾燥するとのどが痛むのはどうしてですか?

遠山医師 鼻からのどへ続く気道には、「せん毛」という毛のような組織があります。侵入してきたホコリや細菌、ウイルスなどの異物は、せん毛が動くことによって、粘液と一緒にたんやせきとして体外へ排出されるようになっています。
ところが、せん毛はデリケートで「乾燥」に弱く、のどの潤いが低下すると動きが鈍くなります。そのため、せん毛の運きが弱まってウイルスや細菌などが体内に入りやすくなります。
すると、のどで菌が繁殖して炎症を引き起こすので、のどに痛みや腫れ、イガイガ感などの症状が現れるのです。

――乾燥がのどのバリア機能を弱めるのですね。どのような対策をすればいいのでしょうか?
遠山医師 ポイントは「加湿と保温」です。のどにとって、温度18~22度、湿度40~70%が最適の環境と言われています。
具体的に、次の5つの方法を紹介します。

(1)うがいをする
うがいはのどを適度に刺激して粘液の分泌や血流を促し、潤いを保ちます。効果的なうがいの方法は、一回目は口の中をすすいで食べかすや雑菌を吐き出す、二回目に上を向いて「ガラガラ~」と声を出しながらゆすぐことです。
また、のどの痛みやイガイガ感が強いときはうがい薬を使ってみましょう。うがい薬には、主に「ポピドンヨード」、「セチルピリジニウム」、「アズレン」という3種類の成分が含まれるタイプがあります。
中でも「ポピドンヨード」は消毒殺菌効果が強くて改善が早いように感じるのですが、この成分を含むうがい薬を使う場合は1日3~4回までにしましょう。使い過ぎると、口の中の細菌バランスを保つ咽頭(いんとう。のどのこと)や口腔(こうくう。口の中のこと)内の常在菌まで殺菌し、カビ(真菌)が生え、口腔・咽頭カンジダ症になることもあります。

(2)マスクを装着する
吐く息に含まれる水蒸気が加湿の役割を果たすと同時に、冷たい外気を直接吸い込まないので、保温の点からも効果が期待できるでしょう。また、濡れマスクも加湿を促します。抗菌処理が施されたタイプが市販されているので、シーンに合わせて選ぶといいでしょう。

(3)加湿器を使用する
室内の湿度を一定に保つことができます。また。濡れたタオルや洗濯物を干すと、室内が乾燥し過ぎるのを防ぎます。

(4)のど飴をなめる
のどの炎症や痛みを和らげる成分が含まれる医薬品の飴はもちろんですが、食品ののど飴でも、なめることでだ液の分泌を促してのどに潤いを与えます。

(5)ガムを噛(か)む
(4)と同じく、ガムを噛むとだ液の分泌を促してのどに潤いを与えます。

――これまで対策法を伺いましたが、予防法や気を付ける点があれば教えてください。

遠山医師 最も効果的な予防法は、「手洗いとうがい」です。体内にウイルスや細菌を侵入させないように、洗い流すことを心がけましょう。また、のどの痛みが3日以上続く、高熱が出て強い痛みがある、のどの痛み以外に摂食困難や発声困難、呼吸困難、頸(くび)のリンパ節が累々と腫(は)れてきたなどの症状がある場合は、すぐに耳鼻咽喉科や内科を受診することをお勧めします。扁桃(へんとう)炎や扁桃周囲膿瘍(のうよう)、急性喉頭蓋炎(こうとうがいえん)、リンパ腫や咽喉頭腫瘍(いんこうとうしゅよう)など、さまざまな病気の疑いがあります。

――ありがとうございました。

空気の乾燥がのどの乾燥につながり、そしてバリア機能を低下させていたために、のどがイガイガ、痛くてつらい症状が起こるという連鎖が続くそうです。対策のポイントは「加温と加湿」ということを覚えておき、対処したいものです。
(岩田なつき/ユンブル)

取材協力・監修 遠山祐司氏。耳鼻咽喉科・気管食道科専門医。大阪市都島区医師会会長。医学博士。とおやま耳鼻咽喉科(大阪市都島区)院長。http://www.eonet.ne.jp/~tohyamajibika/

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