一流は自分で調べて動く!お金を増やす「キングギドラ理論」とは
『一流理論』(高嶋ちほ子著、PHP研究所)の著者は、編集者として3,000人以上の会社員を筆頭に、料理人、クリエイター、作家、経営者、スポーツ選手など1,000人以上の業界のトップに取材してきた実績を持つ人物。
さまざまな人と会い、さまざまな仕事をするなかで「なぜ自分は一流になれないのか」と悩んだこともあったといいますが、その結果として行き着いたのが「一流の定義」。すなわち、
・やりたくない仕事を適当にこなすのが、三流
・やりたくない仕事を体を壊すまでがんばるのが、二流
・やりたくない仕事を断って、好きな仕事に没頭するのが、一流
という考え方です。
しかし、もしそうなのだとすれば、どうしたら、やりたい仕事だけして食べていけるのでしょうか?
つまり、その答えを明らかにしたのが本書だというわけです。
きょうは、お金に対する考え方を明らかにした第5章「いい仕事をするための『一流のお金の哲学』」のなかから、興味深いひとつの理論を抜き出してみたいと思います。
■中村芳子さん直伝「お金を増やす要素」
お金を増やすためには、次の3つの要素が必要だと著者はいいます。
・「労働」(働いて資金をつくる能力)
・「節約」(無駄な支出を減らす能力)
・「投資」(資金を殖やす能力)
ちなみにこれは、『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(ダイヤモンド社)などのベストセラーを持つ、人気ファイナンシャル・プランナーの中村芳子さんから教えていただいたものなのだとか。
お金を増やすには、「働いてお金を手に入れ、無駄な出費を減らし、そのお金をなるべく投資に回す」こと。それが、お金を増やすために求められるべき基本的な流れだというのです。
■お金は災害・政治・無知の3つで減る!
加えて、ファイナンシャル・プランナーの学校に通ったことがあるという著者は、そこで興味深いことを聞いたのだといいます。それは、世の中には「お金を減らす3つの敵」があるということ。
1つ目は「災害」。たしかに災害は大きな敵で、最近は地震だけでなく、大雨による水害も目立ちます。
2つ目は「政治」。政権が変わると、その国の経済に大きな影響が出るもの。国外の投資家の評価が変われば、為替や株価に影響が出ます。法改正による規制緩和で株価が推移することもあります。また、生活に直接影響が出る税率も、政権によって頻繁に変わります。
だからこそ、政治には目を向けておかなくてはならないということ。
そして3つ目は「無知」。損をして悔しがっているならまだいいほうで、世の中には損をしていることにさえ気づかない人が多いのだといいます。
■お金を増やすには自分で調べて動くべし
さらにもうひとつ重要なのは、「自分で調べて行動すること」の大切さなのだそうです。
たとえば著者は以前、日本航空の株を持っていて、同社の経営破綻の際には株券が紙くず同然になったため53万円損したことがあるのだといいます。
問題はこのとき、株主優待券ほしさになにも調べずに購入したこと。財務諸表も見なかったどころか、そもそも味方を知らなかったのだといいます。
経営危機が報道される少し前に、「日本航空は危ない。株はすぐに売ったほうがいい」と助言してくれる人があったにもかかわらず、「まさかあんな大企業がつぶれるはずがない。万が一のときは国が救済してくれるだろう」とタカをくくっていたというのです。
公的資金の代わりに100%の減資という「株主責任」を問われることがあることも知らなかったため、大きな負担を背負うことになってしまったというわけです。
■3つの頭で考える「キングギドラ理論」
これは「投資」に関する無知ですが、それはともかくも、お金を増やしたいのであれば、「労働」「節約」それぞれの分野で無知であってはならないと著者は強調します。
増やしたい以上は、それぞれの分野について自分で調べ、考え、行動しなくてはならないということ。
そして「3つの頭で考える」ということから、3つの頭を持つ怪獣「キングギドラ」をイメージしているのだとか。
そこでこれを「キングギドラ理論」呼び、無知だった自分を戒めているのだといいます。
*
この「キングギドラ理論」がそうであるように、本書では著者が経験から導き出した50もの理論が紹介されています。
それらは、多くの方々の環境にも当てはまるものであるはず。
一度、手にとってみてはいかがでしょうか?
(文/書評家・印南敦史)
【参考】
※高嶋ちほ子(2015)『一流理論』PHP研究所