ニッポンの“CMシンデレラ”50年の名場面(3)「大場久美子・オリンパスOM10(1979年)」

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ニッポンの“CMシンデレラ”50年の名場面(3)「大場久美子・オリンパスOM10(1979年)」

 一昨年、週刊アサヒ芸能で35年ぶりの水着グラビアを発表して大きな話題となった大場久美子(56)。その原点は、70年代にきらめきを放ったCMの数々である。

 私は子役の時代があったので、CM出演は13歳と早いんです。男の子と2人で、森永製菓の「草花」「マロン」のCMに出ていましたが、数百個のチョコを口に入れては、下に用意されたバケツに吐き出すような作業でしたね。

 アイドルの大場久美子になって、初めて出させていただいたのはハウス食品の「ククレカレー」(78年)だったと思います。お正月になると「おせちもいいけどカレーもね♪」のフレーズを、キャンディーズさんから引き継いで歌っていました。

 あのCMは何人かの子役と一緒のことが多かったのですが、1人でもスプーンの角度が違うと「はい、撮り直し!」の連続。何十テイクも重ねるので、私は7皿分くらいのカレーを食べていたと思います。

 あの頃は若かったから、ふだんから「かつ丼とカレー!」みたいな大食いで、撮影でどれだけ食べても平気だったんですよ。食べ物だけじゃなく「ポッカコーヒー」の撮影になると、一日中、ずっとコーヒーを飲み続けていましたね。

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 CM人気だけでなく、ドラマの「コメットさん」(TBS系)やレコード、さらに雑誌グラビアの数々で、ナンバーワンの人気を獲得。そのビジュアル的な要素は、再びCMに還元された。

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 79 年に始まった「オリンパスOM10」というカメラのCMは、自分でも特に気に入っています。恐らく、1カットだけで15 秒を成立させたCMというのはそれまでなかったと思います。そのことが評価されて、CM関連の賞もいただいたそうです。

 さて、なぜ1シーンを1カットで撮ったのか‥‥。それは私のせいなんですよ。最初は多摩川で始まった撮影も、CMが人気になるにつれ、沖縄やグアムとロケ地が豪華になっていきました。基本は私の姿をカメラのレンズが追い、そこに「久美子、キミが好きだと言うかわりに、僕はシャッターを押した」というナレーションがかぶさる。

 ところが何度目かのロケで、演出家の人と意見がまったく合わなかった。私、半日間のストライキをして現場に行かなかったくらいですから。

 これに演出家さんが「じゃあ、何もしなくていいからそこに立っていなさい」と言ったんですね。だから私、ニコリともしないで、むしろにらんでいるような目線で1シーン1カット‥‥。そんな裏話があって傑作CMが生まれたんです。

 何年か前、ロッテの「モナ王」で久々にCMに出させていただきました。たった1人の子役のスプーンの向きの違いで私が7皿もカレーを食べた頃と違い、今のハイテクな撮影にはびっくりしました。あらかじめ他の役者さんでCMのフォーマットを決めておいて、そこに私たちの動画を入れ替えていくような形でスピーディに完成させていく。

 もちろん、CGも使っていますし、隔世の感がありましたね。ただ、時代が違ってもCMの撮影は、いつでもワクワクするものがありましたよ。

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