みんな騒いでる「マイナス金利」…一体何がマイナスになったの?

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日本銀行(黒田総裁)が2016年1月29日に“マイナス金利”を発表しましたね。あまり経済に興味がない人でもメディア等で連日騒がれていますので、“マイナス金利”という言葉ぐらいは見聞きしているのではないでしょうか。
そこで今回は、ファイナンシャルプランナー(FP)の筆者が、「言葉は知ってるけど、実はよく分かってない」人向けに“マイナス金利”の概要をざっくりお教えいたします。
■何がマイナスになったの?
私たち個人や法人は、市中銀行(町で見かける普通の銀行)に口座を持っていますよね。そして、市中銀行にお金を預けておくことで、雀の涙ほどですが利息がつきますよね。
これと同じように、市中銀行は日本銀行(以下、日銀)に口座を持っているのです。そして、市中銀行は日銀にお金を預けておくことで利息を受け取っていました。
今回の政策でこの“日銀から市中銀行に渡される利息”をマイナスにしたのです。つまり、本来であれば市中銀行が利息を受け取るはずなのに「日銀が利息を受け取ります」と宣言したのです。
市中銀行は、日銀にお金を預けていると日銀に利息を支払わなければならない状態になったということです。市中銀行だってボランティアではありませんので、どうにかして儲けなければなりません。
■市中銀行の儲け方
市中銀行が儲けを出す方法として、“誰かにお金を貸し付ける”というものがあります。
例えば、市中銀行がA社に100万円を貸したとしましょう。仮に利息が3%ならA社は市中銀行に103万円返済しなければなりません。すると、市中銀行は3万円儲けることが出来ますよね。
そしてお金を借りた側は、必ずそのお金を何かに使います。法人であれば設備投資に使うかもしれません。個人であれば家を買うかもしれません。そうすることで、法人の業績が上がり、業績が上がると個人の給料が上がり、給料が上がると消費が増え、法人の業績が上がる。これを繰り返していくうちに景気がよくなる・・・・・・というのが日銀の考えです。
■マイナス金利での心配事
日銀がマイナス金利にすることにより、私たちが普段見聞きする金利もさらに下がることが懸念されます。つまり、市中銀行が頑張って法人や個人に融資をしても、その融資の金利ですら下がってしまい、市中銀行がなかなか儲けられない・・・・・・といった事態になりかねません。
さらには、私たちが市中銀行に預けるお金の利息ですら、さらに引き下げられてしまうかもしれません。そうなれば、今まで以上にタンス預金をしたり節約意識をもったりして、なかなか消費しづらい状態になるかもしれません。個人が消費をしないと法人の業績はなかなか上がりませんので、給料が下がってしまう恐れすらあります。
いかがでしたか? 最後は筆者個人の見解ですので必ずそうなるというものではありませんが、是非一度みなさんも今後の日本経済について考えてみてくださいね。
(鍛治田祐子)
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