人気ディズニー映画のモデルとなった物語のダークな内容その2

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人気ディズニー映画のモデルとなった物語のダークな内容その2


ディズニー映画のもととなっている物語には、身も凍るほどダークなものがあります。今回はその第2弾をご紹介。

ScreenRantがまとめたディズニーのダークな逸話の数々をどうぞ。各作品のネタバレが一部あるので、ご注意ください。



■『ピーター・パン』

1953年に製作された『ピーター・パン』は2002年に続編が公開されただけでなく、スピンオフ作品も多くリリースされている人気作です。

そんな本作にはピーター・パンの子分である迷子の子供達「ロストボーイ」が登場しますが、彼らが成長してしまったらピーターはどうするのでしょうか? 家に返すのか、それとも......?

ジェームス・マシュー・バリーの原作では「成長はルールに反するため、ピーターは彼らを間引く」と書いてあります。「殺す」といったような直接的な言葉は避けて表現していますが、恐らくピーターの手にかけられるのでしょう。

ネバーランドは子供だけの楽しい世界ではなく、恐ろしい方法で「強制的に子供だけしか存在しない世界」を保っているということになるのです。


■『ポカホンタス』

異なる文化と言語、人種の壁を超えて、植民者のジョン・スミスとインディアンのポカホンタスが惹かれあうものの、最後は離ればなれになってしまうという、ディズニーには珍しい悲恋を描いた作品です。

本作に登場するジョン・スミスとポカホンタスは実在の人物ですが、ジョン・スミスがアメリカに上陸した30年代半ば、ポカホンタスはまだ10~12歳の子供で、ロマンティックな関係にはならなかったと考えられています(ポカホンタスの直系の子孫であるスーザン・ドネルは著書の中で「ふたりは強く惹かれあっていたと信じている」と主張していますが)。

さらにポカホンタスは誘拐され、クリスチャンの洗礼を受けさせられ、名前をポカホンタスからレベッカに変えさせられ、英国人のジョン・ロルフと強制的に結婚させられたのです。

その後、ポカホンタスは20代という若さで原因不明の死を迎えています


■『美女と野獣』

ディズニーの黄金期に作られた『美女と野獣』は、外見に惑わされない強い意志を持つ、ちょっぴり不思議ちゃんなベルが、迷い込んだ城で野獣と出会い、最後には野獣の呪いを解いてハッピーエンドという作品です。

ディズニーの中では原作に比較的忠実な作品ですが、もちろん変更されている部分もあります。

まず、ガストンという横恋慕キャラが追加されているところ。そして、ベルの父親は商人ではなく発明家に変更されています。さらに、意地悪な2人の姉は省かれているのです。

原作では、ベルは野獣から一定期間実家に戻る許可を得ます。姉たちは戻って来たベルが上等な服を着て、食べるものにも困っていなさそうな様子を見て嫉妬にかられます。そしてベルが城に戻らなければ、野獣が怒り狂い、ベルを食い殺すだろうと考え、滞在を引き延ばそうとするのです。

彼女たちの思惑は外れ、野獣はベルを失った悲しみから衰弱してしまいます。それを知ったベルは慌てて野獣の待つ城に戻り、2人は幸せに暮らしたのでした。


■『きつねと猟犬』

母を殺されて人間に育てられたきつねのトッドと、隣人の猟師に育てられた猟犬のコッパーが、将来自分たちが敵同士になることも知らずに親友になるという、大ヒット作品。

本作のラストは、クマに襲われたコッパーをトッドが救い、コッパーの飼い主が疲れ切ったトッドを殺そうとするものの、コッパーがすかさずトッドをかばい、2人はともに暮らしはしないものの、幸せに暮らしたという流れです。

一方で、ダニエル・P・マニックスによる原作のエンディングは、救いのないものでした。

猟師の他の犬が狐によって殺されたため、猟師はコッパーを訓練してトッドを捕まえようとします。コッパーはトッドを追い掛け回し、死に追いやるのです。

数年後、年老いた猟師は介護施設に入居しますが、家を離れる前に長年の狩りの相棒であったコッパーをショットガンで撃ち殺します


■『ジャングル・ブック』

黒ヒョウのバギーラに助けられ、狼に育てられた人間の子供モーグリが主人公のアドベンチャー映画。ウォルト・ディズニーの遺作です。

ジャングルに人食い虎のシア・カーンがやってきたことで、動物たちはモーグリを人間の村へ戻そうと計画しますが、モーグリ本人はジャングルに留まりたいため、なかなかうまく進みません。

最終的にモーグリはシア・カーンを倒し、ジャングルに残れることになりますが、美しい人間の女の子と出会ったことでモーグリは人間の村に戻っていく、というお話です。

映画では人間の村があたかも素晴らしく平和な場所のように描かれていますが、ラドヤード・キップリングが書いた『ジャングル・ブック』の続編にあたる『続ジャングル・ブック』には、村人から妖術使いだと非難されたモーグリは村から追放されるだけでなく、ジャングルの仲間も拷問にかける計画がなされたとあります。

そして、復讐に燃えたモーグリはジャングルの動物たちを集めて村の畑や食料をめちゃくちゃにし、最後には象の集団を誘導して村を破壊。村人を追い出したと書かれています。


■『ムーラン』

1998年に公開された古代中国を舞台にした物語。中国に伝えられる木蘭という女性がモデルになっています。

各家男子1人の徴兵令が出るものの、家にいる男子は高齢で病気の父親のみ。そこで父のために一人娘のムーランが男装して従軍し、12年間もの間、過酷な訓練や仲間たちの意地悪に耐えます。その努力の甲斐あって、彼女は周りから一目置かれる存在に。

しかし、ムーランは交戦中に傷を負い、手当ての際に女であることがバレてしまいます。本来ならば軍規違反で処刑されるところでしたが、故郷に追放されるという形に

傷ついたムーランは父の待つ家に戻り、愛情を持って迎えられ、最後はムーランの想い人が故郷を訪れてハッピーエンドというのがディズニー版です。

原作では、家に戻ると父親はすでに他界しており、母親は再婚。それだけではなく、外国の支配者の内妻にされそうになり、従いたくないムーランは自ら命を絶ちます


■『塔の上のラプンツェル』

森の中の塔の上に隔離され、自分の誕生日の夜の空に現れる無数の灯の正体を確かめることを夢見る少女を描いた作品。

本作は『ラプンツェル(髪長姫)』が原作です。最も有名なグリム童話のものでは、王子が塔から落ち、着地した先の藪に目を突かれて失明してしまう内容。ヴィランのゴーテルは、おとぎ話風の罰を受けて終わります。

一方、17世紀のイタリアで伝えられている話では、少女は母親が少女を身ごもっていた頃に鬼女の畑で栽培されていたパセリを盗んだことの報復として、塔に閉じ込められたとされています。

閉じ込められてから脱出までの展開に大きな違いはありませんが、逃走の方法は異なり、少女は王子と恋に落ちて逢瀬を繰り返した後、鬼女を眠らせた隙に塔から逃走するのです。

その際、3つの魔法のドングリを投げて、追いかけてくる鬼女の邪魔をします。1つめのドングリは大きな犬に、2つめはライオンに、3つめはオオカミに変身し、鬼女を丸呑みして、2人は無事に逃げ切るのです。


■『ノートルダムの鐘』

ディズニー映画にしては、全体的にシリアスな内容で知られる本作。興行成績は芳しくなかったものの、その映像美と大人向けの内容、美しい音楽が評価の高い作品です。

冒頭、ジプシー狩りを行う最高裁判事のフロローによって、ジプシーの女性が殺されます。それだけでなく、彼は女性が抱えていた醜い顔の赤ん坊まで井戸に落として殺そうとするのです。

いきなり殺人が映し出されるダークな展開ですが、ヴィクトル・ユーゴーの原作とは比較になりません

ジプシーの美しい踊り子エスメラルダは、フェビュス隊長の殺人未遂の濡れ衣を着せられ、魔女裁判の元、死刑を宣告されます。カジモドはエスメラルダを救ってノートルダム大聖堂に匿うも、カジモドのあまりの醜さに顔もまともに見られません。

暴動で混乱状態になった大聖堂にフロローが訪れ、エスメラルダを連れ出し、命と引き換えに愛人になるように迫りますが、エスメラルダは拒否。フロローは衛兵にエスメラルダを引き渡し、彼女は処刑されてしまいます

カジモドは大聖堂の塔の上からエスメラルダが処刑されるのを笑いながら見ているフロローを突き落として殺害。その後、エスメラルダの死体を探し、カジモドは餓死するまで側に居続けたのでした。


■『ヘラクレス』

ギリシャ神話のコンセプトだけを取り入れた作品。

神ゼウスの子であるヘラクレスは、オリンポスの支配をたくらむハデスによって人間界に連れて行かれ、人間になる薬を飲まされてしまいます。

ところがヘラクレスは薬を完全に飲み干さなかったため、人間になりきることはなく、怪力が残ったまま人間界で成長。その後、育ての親から自分がゼウスの子供であることを知らされたヘラクレスは神殿へ行き、本当の父親と再会します。

ゼウスから「神へ戻るためには本物のヒーローになれ」と聞かされたヘラクレスは、ヒーローになるための修行を始めるのです。

本作ではヘラクレスと恋仲になるメガラというキャラクターが登場しますが、彼女はヘラクレスの最初の妻であるメガラーがモデル。映画ではメガラはヘラクレスとハッピーエンドですが、ギリシャ神話では悲惨な運命をたどります。

彼女はヘラクレスとの結婚後に子どもを授かりますが(2~8人)、気が狂ってしまったヘラクレスがその子どもたちを殺害。さらには、メガラーも殺されてしまったという説もあります。


■『プリンセスと魔法のキス』

2010年に公開された本作は、2002年に発表されたE.D.ベイカーの小説『かえるになったお姫様』と、グリム童話の『かえるの王さま』がもとになっています。

映画では真実のキスが魔法を解くとありますが、小説ではキスだけに限らず、さまざまな方法が紹介されているようです。

例えば、グリム童話の『かえるの王さま』では壁に向かって投げつける。他の作品では、カエルの首を切り落とす皮を焼くといったやり方で呪いを解くと書かれています。


ソース:ScreenRantYouTube

中川真知子

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