北朝鮮軍内の性暴力「神聖な場所を悪用」 (1/2ページ)
北朝鮮における「人道に対する罪」が凄惨さを増すのは、国民が「人権は大事である」という概念すら持つことができず、従って被害者が身を守ることもできず、加害行為に対する抑制が働かないからでもある。
とくに深刻なのは、女性の人権問題だ。
「北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)」の最終報告書(以下、国連報告書)は、北朝鮮における女性の人権状況について次のように述べている。
女性に対する差別は、社会のすべての側面で横行している。実際のところ、悪化しているかのようである。なぜなら、男性が支配的な国家において,経済的に進出しつつある女性及び疎外されている女性の両方を食い物にしているからである。
その実例は、軍隊内に見ることができる。
ボイス・オブ・アメリカ(VOA)韓国版によると、脱北女性団体の「ニューコリア女性連合」(本部=ソウル)が昨年春、北朝鮮で7年以上の軍歴のあった脱北女性らの記者会見を開き、こうした内情を明らかにした。
記者会見に臨んだキム・ジンミさんは、北朝鮮の人民保安省で7年間勤務した経歴のある元軍人だ。軍隊内の朝鮮労働党副書記から「労働党に入党させてやる」と言われ、「金日成同志革命思想研究室」に呼び出されて性的暴行を受けたと証言した。
北朝鮮では労働党に入党できれば、昇進や配給面で有利な扱いが期待できる。また、思想研究室は容易に出入りできない神聖な場所とされており、それを悪用して性的嫌がらせや暴行が行われることが多いと言う。
幹部家庭の子女たちは、2~3年だけ軍に勤務し、その経歴を武器に大学や幹部養成学校に進学できる。しかし、キムさんは一般家庭出身であり10年間勤務しなければならないので、上官からの性的暴行も告発できず、されるがままだった。
北朝鮮の空軍司令部上尉(大尉)として12年間勤務したパク・ヒスンさんも、軍隊内で性的暴行が頻繁に起こっていると証言した。
北朝鮮の軍役は男性で13年、女性で10年という長期間にわたる。軍隊内の恋愛は当然のごとく禁止されており、それが性的暴力の横行を誘ってもいるという。
ただし、北朝鮮には「性的暴力」という言葉すらない。