高機能センサー付き!? サメは「電気」で獲物を探すってほんと?

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恐怖映画の題材の定番「サメ」。血の臭いをかぎつける優れた嗅覚が有名ですが、電気や磁力も感じ取れるのはご存じでしょうか?

サメの鼻には「ロレンチーニ器官」と呼ばれるゼリー状の組織があり、何のためにあるのかナゾのままでしたが、研究を重ねるうちに「電気」を感じ取ることが解明。100万分の1ボルトと微弱な電気も感じ取り、これを使って獲物を見つけ出すことが分かりました。掃除機のような頭の「シュモクザメ」はこの器官が発達し、海底にひそむエサを探し出すだけでなく、地球の「磁力」を移動に利用。進化していないなんて言われるものの、じつはハイテク装備の魚だったのです。

■サメのハナには「電気センサー」がある

サメは遠く離れた場所の獲物をかぎつける、なんて言われているように嗅覚が優れ、血が漂うと多くのサメが集まってきます。ところが、獲物の位置を正確に割り出せるのに使うのは、なんと電気。サメのハナには電気センサーが隠されているのです。

魚の細胞は海水と濃度が違うため、ごくわずかな電気を放ち、自体が電池の役割を果たしています。これはデンキウナギやシビレエイのように身を守るための放電でなく、どんな魚も自然と電気を発生しているのです。サメは、この電気を「ロレンチーニ器官」と呼ばれる部分で感じ取り、相手のいる場所を正確に割り出しているのです。

ロレンチーニ器官はとがったハナのなかにあるゼリー状の器官で、これが何の役割をしているのか、長らく解明されていませんでした。1900年代後半になってこの器官が電気を感じることが分かり、さらに近年の研究では非常に精度が高いことが判明。100万分の1ボルトの違いも検知できる優秀な電気センサーだったのです。

ある研究で、電気の流れる電極とエサを近づけたところ、サメは電極にかみついたという結果もあり、

 ・遠距離 … におい

 ・近距離 … 電気

の2つを使い分けてエサを見つけている、と考えられているのです。

■平たい頭は高性能レーダー

サメは電気だけでなく磁力も感じられると考えられています。T字型の頭をしたシュモクザメは、磁気を頼りに移動しているとの研究結果もあるのです。

ハンマーヘッドの名の通りの「かなづち」のように発達した頭は、一種の「ひれ」のようにも見えますが、じつは海底に潜む魚を見つけるためのセンサー。ロレンチーニ器官が発達し、ほかのサメよりも電気を感じやすい構造になっているのです。この優秀なセンサーを使い、どうやら「磁力」も感じ取っているのでは? と考えられているのです。

磁力と電気じゃ大違い! と思われるかも知れませんが、モーターが回転するのは電気によって磁力を起こすため、発電機はこの逆の構造であるように、磁力の変化は電気を発生させます。そのため電気を感じるサメが磁力の影響を受けてもフシギではなく、地球や海底火山の磁場を利用して行動していると推測されているのです。

遠く離れた場所からでも戻って来られるハトのように、地磁気を利用している動物は実在するので、サメのロレンチーニ器官が特別とは言えません。最近は磁力を利用したサメよけグッズも販売されているので、研究が進み、安全にマリンスポーツが楽しめる日が来るのを楽しみにしましょう。

■まとめ

 ・サメのハナの部分には、電気を感じるロレンチーニ器官がある

 ・わずか100万分の1ボルトの差も感じ取れるほど敏感

 ・獲物に近寄ってからは、電気を頼りに位置を把握している、と考えられている

 ・移動する際に地磁気を利用している、との研究結果もある

(関口 寿/ガリレオワークス)

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