残業しても意味がない? 名ばかりも? 管理職の残業代の仕組みについて調べてみた

フレッシャーズ

管理職になると残業代が支払われなくなる、という話をよく聞きます。なぜ管理職になると残業代が支払われなくなることがあるのでしょうか。そもそも、管理職とはどのような立場の人を指すのでしょうか。この記事では、管理職と残業代の関係について説明します。

■労働基準法における「管理監督者」の残業代

労働基準法において残業代は「労働時間の延長、または休日の労働について、通常の労働時間の賃金の2割5分以上5割以下の範囲内で、政令によって定める計算で割り出した割増賃金を支払うこと」と定められています。ただし、これには例外があります。それは「管理監督者には残業代を支払わなくてよい」ということです。そのため、管理職になり、この管理監督者に該当するようになると残業代が支払われなくなります。

■管理監督者の定義

では、管理監督者とはどのような人のことでしょうか。管理監督者と判断されるには「経営者と一体的な立場」「重要な責任と権限」「勤務時間が自由裁量」「相応の賃金」の4つのポイントがあります。まず「経営者と一体的な立場」についてですが、会社の経営に直接関わる立場となると当然、重要な職務を担うことになります。このような仕事は労働時間などの規制の枠を超えて活動せざるを得ないと判断されます。そういった性質から、管理監督者には「重要な責任と権限」が与えられる必要があります。自らの裁量で行使できる権限を多く持ち、上司の命令を部下に伝えるだけでなく自分で考えて部下に指示を出せる立場がこれに該当します。また、勤務時間も自分で決めることができる、給料や役職手当などの待遇が充分に優遇されているかどうかも重要な判断基準となります。このため、一般的なイメージの管理職と管理監督者は必ずしも一致するとは限りません。会社によっては、管理職になったときに労働組合から脱退することがあります。これは労働組合法の「管理的地位にある労働者」となったためであり、労働基準法の「管理監督者」とは別となります。労働組合から脱退しても残業代がなくなるというわけではないので注意が必要です。

■管理職=管理監督者ではない? 「名ばかり管理職」にならないために

数年前から「名ばかり管理職」が社会問題としてニュースに取り上げられるようになりました。これは、充分な権限や賃金が与えられないにもかかわらず、建前は管理職扱いとして残業代が支払われないという問題です。実際の裁判の事例をご紹介しましょう。あるファミリーレストランの店長が裁判の結果、管理監督者ではないと判断されました。その店長は店で働く従業員の統括と採用の一部を任され、店長手当も支給されていましたが、労働時間や労働条件は経営者が決めており、店長に自由な裁量はありませんでした。また、店長はコックやウエイター、レジや店舗の清掃など、本来の店長の職務以外の仕事もこなしていました。これらの実態から、「店長は管理監督者ではないので残業代を支給するべきである」という判決が下されました。「名ばかり管理職」にならないためには、給与明細と労働時間を把握する必要があります。そしてそれらを保管し、疑問に思ったら会社や労働問題を取り扱う機関、弁護士などに相談しましょう。

労働基準法が定める「管理監督者」には残業が支払われません。ただし、一般的な管理職が管理監督者に該当するとは限りません。給料明細や労働時間、労働内容をチェックしておかしいと思ったらすぐに会社や信頼できる窓口に相談しましょう。

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