なぜ体が熱くなる!? 病気になると「熱」が出るのはナゼ?

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春めいてきたとはいえ、まだまだ寒い日が続く今日この頃。こんな時期に多いのがカゼで、体調を崩しているひとも少なくないでしょう。

カゼをひくと「熱」がでるのはナゼでしょうか? 体内に入った病原菌がもたらす「副産物」と思われがちですが、じつは脳が体温を上げる指令を出しているから。侵入した菌と闘う白血球や免疫機能を高めるための「応援」なのです。病原菌の増殖を抑える働きもあり、病気になったトカゲも体温が上がることが判明。変温動物なのに「熱」をだして身を守る、フシギな現象が起きるのです。

■発熱は「自分応援団」

人間にとって体温は健康のバロメータで、個人差はあるものの、

 ・平熱 … 35~37℃
 ・微熱 … 37~38℃
 ・高熱 … 38℃以上

が目安です。水銀体温計の目盛りが「42℃まで」なのは、これ以上になるとタンパク質が変質してしまい、生存の見込みがないから……。37℃を基準にすると、人間はたったプラス5℃までしか生きられないデリケートな生き物なのです。

カゼをひくと「熱」がでるのはなぜでしょうか? 体内に侵入したバイ菌が悪さをするから、ではなく、意図的におこなわれている防御策。病気と闘うために、わざと体温を上げているのです。

カゼのウイルスが侵入すると、白血球やマクロファージなどの免疫活性(めんえきかっせい)食細胞が対抗、文字通り「食べる」ように取り込んで排除します。そのときに「サイトカイン」という物質が発生、これが脳に向かい「ヤバいよ! ヤバいよ! 」と状況を伝えます。すると脳は、視床下部の体温調整中枢(ちゅうすう)に指示を出して体温を上昇。つまり、カゼの原因であるウイルスは「きっかけ」でしかなく、熱が出るメカニズムは自作自演、そのためサイトカインは「内因性発熱物質」とも呼ばれているのです。

体温を上げる理由は、

 ・免疫機能を高める
 ・白血球の働きをよくする
 ・ウイルスや菌の増殖を抑える

ためで、いうなれば自分応援団。なかなか熱が下がらない! と邪険にされがちですが、じつはからだを守る、だいじなイベントだったのです。

■病気のトカゲは「体温」を作る?

ほかの動物も「熱が出る」のでしょうか? 体温を持つほ乳類や鳥類なら同じことができますが、トカゲやヘビなどの変温動物は「やられっぱなし」になってしまいます。ところが、体温調整できないはずのトカゲも、病気になると熱が出ることがわかったのです。

ミシガン大学の実験で、病気にかかったトカゲを観察したところ、トカゲの体内では、その菌の繁殖に必要な鉄分が大幅に減少することが確認されました。それと同時に、変温動物のはずなのに体温が上昇… やがて病気から回復したのです。

この結果から、

 ・病原菌は、確かに増殖していた = 鉄分が現象した
 ・トカゲは「熱を出した」後に回復 = 病原菌をやっつけるのに「熱」が有効

とわかり、つまりは人間と同じような仕組みを備えていたのです。別の研究では、病気のウサギも体温が上がることがわかり、病気を治すために「熱」が出るのは人間だけではないのです。

温度が高いほうが増殖しやすいのでは? と思うのも当然で、気温が高くなるとカビが発生しやすいのは事実です。ところがウイルスの適温は10~20℃と低く、平熱の37℃でも1日程度しか生きられないものがほとんどです。42℃の話と同様に、ウイルスにとっても1~2℃の上昇が「命取り」となるので、発熱で対抗するのはじつに有効な手段だったのです。

熱が下がらないときは、まさにウイルスと格闘中のサインですので、ムリをせず休養するのが良いでしょう。

■まとめ

 ・カゼをひくと「熱が出る」のは、病気を治すため
 ・菌と戦うと「サイトカイン」という物質が発生、脳に情報を伝え、体温が上がる
 ・変温動物のトカゲも、病気になると熱が出る
 ・ウイルスの適温は20℃程度と低いため、体温を上げると増殖を抑制できる

(関口 寿/ガリレオワークス)

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