まさにジャイアン? 「暴君ネロ」は、歌で市民を苦しめたってほんと? (2/2ページ)
未来から来たネコ型ロボットが登場するアニメでは、オンチな少年が、空き地の土管のうえで歌い続けるシーンがあり、その拷問っぷりはまさにネロゆずり。「なんだと市民のクセに! 」と言ったかは定かでありませんが、暴君ネロは2000年近く前に、ジャイアン・リサイタルで市民を困らせていたのです。
■ローマの大火は自演乙?
歌や運動会ならまだかわいいもので、やがてネロの暴君ぶりは本格的なものとなっていきます。ローマで大火事が起きると、ろくに調べないまま犯人を処刑してしまったのです。
西暦64年に起きた「ローマ大火」は、当時のローマ市のおよそ7割に被害をもたらす大惨事でした。ネロは鎮火や被害者の救済を迅速におこない、市民から高い評価を得たのです。ところがこの火事は「ネロのしわざ」説が強く、時間とともに「自作自演じゃね? 」と疑いの声が増える始末……。これに慌てたのか、ネロは「キリスト教徒のせいだ! 」と決めつけて処刑、暴君ぶりをいかんなく発揮したのです。
この事件をきっかけに不満が爆発、反乱が起き、逃げられないと悟ったネロは自ら命を絶ってしまいます。火事の真相はいまだヤミのなか、ネロの判断が間違っていたのかも資料が少なすぎてはっきりしませんが、ネロが犯人じゃね? 説が強く残っているのも事実。今日まで続く「暴君」イメージは、さすがというべきでしょう。
最近の研究で、ネロは良い皇帝だったこともわかりました。それまでおこなわれていた非公開の裁判を禁止したり、彫刻や絵画を楽しめる浴場の建設などから、ネロを賞賛する声も少なくなかったのです。芸術/文化に明るい面と現実とのギャップが、暴君のイメージを強めてしまったのかも知れません。
■まとめ
・暴君ネロは、オリンピックに対抗して5年に1度の「ネロ祭」をおこなった
・誰も帰れない「ネロ・リサイタル」をたびたび開催、市民にイヤがられていた
・ローマの大火事はネロが犯人では? 説が残っている
(関口 寿/ガリレオワークス)