麺類なのに!? 時間が経っても「そば」は伸びないってほんと?

学生の窓口

「そば」をはじめ、麺類にだいじなのが時間。食べようと思ったら電話がかかってきて、その間にのびちゃった! なんて経験、一度はあるでしょう。

そばは本当に「伸びる」のでしょうか? ひと目でわかるほど長くなった! なんて話を聞かないのも、「伸びる」の意味ではないから。水分を吸い過ぎておいしくない状態を意味するだけで、長さが極端に変わるわけではありません。さかのぼれば「のびる」が使われ始めたのは夏目漱石先生の小説からで、ノックアウトされたように元気がない様子から「のびる」と言われるようになったのです。

■7割もあるのにビミョウな水分

中華めんやそばなどの麺類は、ゆで加減が命。お湯を入れるだけの即席ラーメンでも、指定時間より短ければ半生、過ぎると柔らかくなりすぎてしまうのはご存じの通りで、上手にできあがっても、時間が経つとふやけて台なしになってしまいます。

ゆでた麺類はどんな状態なのでしょうか? 100g中に含まれる水分、たんぱく質、炭水化物の量(グラム)をあげると、

 ・そば … 68.0g / 4.8g / 26.0g
 ・中華めん … 65.0g / 4.9g / 29.2g
 ・スパゲッティ … 65.0g / 5.2g / 28.4g

と、70%近くを水分が占めています。食パンが約4割、精白米・ごはんでも6割程度ですから、麺類は水分が命といえる食品なのです。

時間が経った「そば」は、なぜおいしくなくなってしまうのでしょうか? スパゲッティの「アルデンテ」は中心に芯が残る、つまり完全にゆでられていない状態がおいしいといわれるように、そばも表面と内側ではビミョウに水分量が異なります。そのため、ゆで過ぎまたは時間が経ってしまうと内側にも水分がしみこんでしまい、歯ごたえがなくなってしまうのです。「腰」がなくなるといわれるように、ある程度の固さが「おいしさ」のポイントになっているのです。

汁に浸っていない「ざるそば」などは麺の表面が乾いてしまい、これもまたおいしいとは呼べません。出されたらすぐに食べるのがおいしさの秘訣といえるでしょう。

■のびるはKO負けの意味

そばは本当に「伸びる」のでしょうか? 汁に浸されたまま時間が経てばふやけて当然ですが、こんなに長かったっけ? な経験はあまりないはず。そもそも「のびる」は長さでなく、元気のない様子を意味しているからです。

そばが「のびる」と言い始めたのは、誰もが知っている作家・夏目漱石先生。「我が輩は猫である」のなかで使われたことばで、人間にたとえるなら足腰が立たないほど弱った様子、いま風にいえばノックアウト状態を「延びた」と表現したのが起源といわれています。汁や水に長時間浸しておけばふやけて伸びるのは当然でしょうが、そもそも長さの話ではなかったのです。

暖かくなるにつれ、さっぱりとした麺類を食べる機会が多くなりますので、ノックアウトされてしまう前においしくいただきましょう。

■まとめ

 ・そばや中華めんは、およそ約70%の水分を含んでいる
 ・時間が経つとそばの中心にまで水分が染み込んで、腰がなくなってしまう
 ・そばが「のびる」と表現したのは、夏目漱石先生
 ・長さの「伸びる」ではなく、ノックアウトされたような状態を表現した言葉だった

(関口 寿/ガリレオワークス)

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