【プロ野球】王貞治の本塁打や金田正一の400勝を凌駕する”偉大な記録”とは

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びっくりするような記録ばかりである
びっくりするような記録ばかりである

 王貞治の868本塁打、金田正一の400勝など、プロ野球には「抜くのは不可能」とされる記録がいくつかある。登板数が減った昨今、先発投手の記録は未来永劫抜かれない、と言っても過言ではないだろう。

 そんなことを考えていると、「抜かれない」とされる各記録の「突出度」はどれぐらいかが気になった。そこで、各記録を「ベスト5までの合計数のうち、何%を占めているか」で算出し、突出度を出してみた。

 なお、メジャー日本人選手の日米合計記録がベスト5に入る場合は、その記録も対象としている。

■400勝以上にすごい! 金田正一の奪三振記録

 まずは投手の記録から。金田正一の400勝をみてみよう。

1位 金田正一 400勝
2位 米田哲也 350勝
3位 小山正明 320勝
4位 鈴木啓示 317勝
5位 別所毅彦 310勝

 5位までの合計1697勝に占める400勝は23.57%となった。2位を50勝も引き離しているカネヤンの記録は、未来永劫抜かれることがないはずだ。

 そのカネヤンは通算奪三振でも日本記録をもっている。

1位 金田正一 4490奪三振
2位 米田哲也 3388奪三振
3位 小山正明 3159奪三振
4位 鈴木啓示 3061奪三振
5位 江夏 豊 2987奪三振

 合計17085奪三振に占める割合は26.28%。400勝もすごいが、4490個も奪った三振のほうが突出していた。

 稲尾和久のシーズン42勝も、まず破られることのない大記録だ。

1位 スタルヒン 42勝
1位 稲尾和久  42勝
3位 野口二郎  40勝
4位 真田重男  39勝
5位 須田 博  38勝
5位 杉浦 忠  38勝

 5位(2人いるが合計数は1人分)までの合計201勝に占める割合は20.89%。ちなみに、稲尾が記録更新した当時、スタルヒンの記録は40勝とされており、後に戦前の記録を見直したところタイ記録であったことが判明しており、稲尾は後に「わかっていたら更新を狙いにいった」と語っている。

「これも抜かれない」と言われるのが江夏豊のシーズン401奪三振だ。

1位 江夏 豊 401奪三振
2位 稲尾和久 353奪三振
3位 金田正一 350奪三振
4位 江夏 豊 340奪三振
5位 杉浦 忠 336奪三振

 合計1780奪三振に占める割合は22.52%。江夏は401奪三振を記録した2年後にも歴代4位の記録に到達しており、改めて大投手だったことがわかる。

 突出度で高そうなのが岩瀬仁紀のセーブ数だ。

1位 岩瀬仁紀  402セーブ(2015年時点)
2位 高津臣吾  286セーブ
3位 佐々木主浩 252セーブ
4位 小林雅英  228セーブ
5位 藤川球児  222セーブ(2015年時点)

 合計1390セーブの占有率は28.92%だが、投手分業制が進む昨今、こちらは破られる可能性を十分に感じさせる記録だ。

■本塁打世界記録より突出している記録の数々

 次に打者の記録にいきたい。はじめに王貞治の本塁打世界記録868本をみてみよう。

1位 王 貞治 868本
2位 野村克也 657本
3位 門田博光 567本
4位 山本浩二 536本
5位 清原和博 525本

 5位までの合計は3153本で、王貞治の868本は27.52%を占めていた。さすがは“世界の王”だ。

 本塁打以外にも、王貞治はいくつかの記録保持者だが、特にすごいのが四球数だ。

1位 王 貞治 2390四球
2位 落合博満 1475四球
3位 松井秀喜 1391四球
4位 金本知憲 1368四球
5位 清原和博 1346四球

 5位までの合計7970四球に占める割合は29.98%。ちなみに敬遠四球は427個あり、その突出度は34.68%。どれだけ相手投手に恐れられたかがわかる突出度である。

 では、記憶に新しいバレンティンのシーズン60本塁打はどうだろうか。

1位 バレンティン 60本
2位 王 貞治   55本
2位 ローズ    55本
2位 カブレラ   55本
5位 バース    54本

 合計279本に占める割合は21.50%。同じシーズン記録の突出度では江夏豊のほうが上だったが、打撃技術が向上する一方であることを考えると、抜かれる可能性のある記録かもしれない。

 福本豊の1065盗塁も、多分に突出率が高いはずだ。

1位 福本 豊 1065盗塁
2位 イチロー  697盗塁(15年現在)
3位 広瀬叔功  596盗塁
4位 柴田 勲  579盗塁
5位 木塚忠助  479盗塁

 トップ5の合計は3416盗塁であり、1065盗塁の福本は31.17%。王貞治のホームランより3%以上突出しており、「ものすごく価値のある記録」といえよう。ただし、イチローが現役であることを考えると、この突出度は少しだけ小さくなる可能性がある。

 あと44安打でピート・ローズを超えて世界記録となるイチローの通算安打数もみてみたい。

1位 イチロー 4213安打(15年現在)
2位 張本 勲 3085安打
3位 野村克也 2901安打
4位 王 貞治 2786安打
5位 門田博光 2566安打

 同じく合計は15551安打で、イチローの占有率は27.09%。王貞治のホームランに肉迫する突出度だ。ちなみに95本打てば占有率で上回るが、昨年の安打数は91本だった。

 あまり注目されない記録だが、世界記録である川相昌弘の通算犠打も占有率は高そうだ。

1位 川相昌弘 533犠打
2位 平野 謙 451犠打
3位 宮本慎也 408犠打
4位 伊東 勤 305犠打
5位 新井宏昌 300犠打

 合計1997犠打に占める割合は26.69%。突出度では王貞治に肉迫している。

 さて、ここまで様々な記録をみてきたが、突出度では「これ以上ない」と思われるのが、1つだけある。

 金本知憲の「連続フルイニング出場」記録だ。

1位 金本知憲 1492試合
2位 三宅秀史  700試合
3位 衣笠祥雄  678試合
4位 松井秀喜  574試合
5位 愛甲 猛  535試合

 合計3979試合のうち、金本の占有率は実に37.49%。2位にダブルスコアをつけたのは、この記録だけ。

「継続は力なり」を証明する偉大な世界記録である。

(文/小川隆行)

小川隆行(おがわたかゆき)
編集者&ライター。『プロ野球 タブーの真相』(宝島社刊)シリーズなど、これまでプロ野球関連のムックを50冊以上手がけている。数多くのプロ野球選手、元選手と交流がある
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