【格差社会】お金持ちはごく一部だけ……貯蓄高の平均値を下回る世帯は全体の約3分の2
■貯蓄額の平均値は1,798万円! しかし中央値は1,052万円。
まず、総務省統計局の「家計調査」(2014年)のデータから見てみましょう。2人以上の世帯の持つ貯蓄現在高は、平均するとなんと1,798万円となりました。これはものすごく大きな数字ですね。ちょっとしたマンションなら、即金で買えてしまいます。しかし、「額の低い方から順番に数えて、ちょうど全世帯数の半分にあたる世帯の貯蓄額」=「中央値」は、1,052万円です。平均値と約800万円もの差がありますが、これは、「お金を持っている人はすごくたくさん持っている」ためで、平均値が押し上げられているのです。全体の約3分の2の世帯は「平均値」を下回っているので、みなさんの実感に近いのは、中央値となるはずです。
それでも1,000万円というと大きな数字です。ただし、この調査では、貯蓄額がゼロの世帯は計算に入っていません。また、貯蓄額が200万円未満の世帯は、全体の16.2%であり、これが最も高い割合となっています。そう考えると、「ちょっと余裕がある人は、1,000万円の貯蓄がある」というくらいなのかもしれませんね。
■別の調査では、貯蓄額の中央値は330万円とも算出される
もう一つ、日本銀行情報サービス局内の金融広報中央委員会の「金融資産の有無と金融資産保有額」(2013年)によると、金融資産の保有世帯は69.0%、平均貯蓄額は1,101万円となっています。貯蓄額がゼロの世帯も含めて中央値を計算すると、なんと330万円となりました。これは、かなり実感に近い値ではないでしょうか。もちろんこのデータも、2人以上の世帯での調査です。
金融資産を保有していない世帯は、世帯主の年代別で見ても、どの年代でもおよそ30%程度存在します。お金のない世帯はとことんないし、ある世帯にはかなりあるということが伺えるデータとなっていますね。
■格差を感じる結果となっている
こういったデータを見る場合、平均値なのか中央値なのか、そのデータからはどんなデータが除外されているのかを確認することが大切です。今回紹介したデータも、年収を階級別に分けてみると、また違った結果になることでしょう。「貯蓄高平均が1,798万円」と聞くと、「えっ、みんなそんなにお金あるの! うちはなんて少ないの!」と驚くかもしれませんが、そのからくりを知れば何のことはない、お金を持っている人はものすごく持っているというだけなのです。
いかがでしょうか。毎年さまざまなお金に関するデータが発表されますが、自分と同じグループに属する人達の実態をデータから見極めるには、それなりの注意が必要そうです。
(ファナティック)