他の人よりすごくやさしい人がいるのはなぜか?利他的な心は生まれつきのものである可能性(米研究) (2/3ページ)
このとき、プレイヤーである被験者の分け与える額と脳内の活動を比較すると、前頭前皮質が活発だった被験者ほど分け与える額が少ないことが判明した(1ラウンドあたり平均1~3ドル)。
一方、苦痛/感情の認識及び他人の模倣に関連する領域が活発だった被験者は、非常に気前が良く、平均して手持ちの75%近くも与えていた。
[画像を見る]
専門的にはこうした傾向を「向社会的共鳴(prosocial resonance)」あるいは「ミラーリング衝動(mirroring impulse)」といい、利他心の原動力であると考えられている。
クリストフ=ムーア博士は、「こうした脳の領域における振る舞いはまるで神経の『黄金律』にしたがっているかのようです」とコメントする。他人の経験を我が事であるかのように感じる傾向があるほど、自分自身を扱うように他人に接するようになるのだという。
『ソーシャル・ニューロサイエンス』誌に掲載されたもう一方の研究は、58人の被験者対してθバースト経頭蓋磁気刺激法という非侵襲的な処置を施したものだ。これは特定の脳領域の活動を抑制することができる。
対照群となった20人は、視力に関連する領域だけが抑制された。
残りの被験者では、あらゆる類の衝動を阻害している背外側前頭前皮質または背内側前頭前皮質の活動を抑制した。これによって被験者が利己的に振る舞うようになるなら、これらの領域を抑制することで利己的な行動を誘発できるということだ。
しかし、脳の衝動制御中枢を阻害された被験者は、対照群との比較で50%も気前が良くなってしまった。
これらの研究によって、利他心の秘密が解き明かされたとクリストフ=ムーア博士は説明している。また非侵襲的な手段を用いて共感能力を促進し、社会的に好ましい行動を誘発できる可能性も示唆しているようだ。