金正恩「核のスイッチ」で加速する北朝鮮の暴走外交 (3/3ページ)
核弾頭を積んだミサイルだけでなく、放射性物質を撒き散らすダーティーボムを使うことだって考えられます」(前同)
一方、外交評論家の井野誠一氏は、北朝鮮が核兵器を使用するケースを、こうみる。「2つあって、1つは韓国と武力衝突が避けられない状況になったとき、先制攻撃として、韓国の戦意を喪失させるために。もう1つは韓国ないし第三国と武力衝突に至り、北朝鮮の劣勢が必至になったとき、戦況を有利にするためです」 井野氏は、北朝鮮が実用化(ミサイルにおいては小型化、軽量化)が、どの程度進められているか、確かな情報を各国ともつかめていないとしながらも、「弾道ミサイル、中距離ミサイル、潜水艦からのSLBMはじめ核魚雷、核地雷など様々な核兵器の開発・改良が進められています。そして、通常の核兵器のみならず、放射性物質をばら撒くダーティーボムは、生物化学兵器とともに、北はいつでも使用できる。この核汚染戦術は見逃せません」(前同)
だが、万が一、北朝鮮が核兵器を使用した場合、核の抑止力を担う“世界の警察”アメリカは即座に報復の核兵器を発射、結果、金正恩政権は崩壊する。ゆえに北朝鮮は先制攻撃するはずがないといわれてきた。
ところが、前出の井野氏は北朝鮮が「全土の要塞化と主要施設の地下化」をすでにかなり行っているゆえ、そうとも言い切れないと驚くべきことを話すのだ。「金正恩第1書記の祖父、金日成主席時代から続けられている一つが、全土の要塞化と主要施設の地下化です。この間、主要な軍事施設、研究・貯蔵施設、非常用の備蓄(食糧、薬品など)の多くは地下に埋設されてきました。そして、その構造はもろもろの貫通兵器の改良、進歩に伴い、より深く、より複雑化しているといいます。今日、その地下空間は全国に広がっているとされています」
さらに続けて、「この地下都市の存在は、現在、公にされているシェルター以外、一般的には知られていません。しかし、できる限り多くの者を長く生存させること、そして金体制の統制システム=“大本営”機能を維持するために、その存在が、ますます拡大されているのは事実です」
一説では、その地下都市は地下約300メートルの所にあり常時、15~20万人が生活でき、ハイウェーや地下鉄も走っているとも言う。このように、狂気の一方で、用心深さも併せ持つ北の独裁者。「金第1書記は自分の側近、自分に忠実な選ばれた一部エリートさえ生き残れば、他の約2300万人の国民は死んでも仕方ないと思っているでしょう。しかも、国連安全保障理事会での過去に例のない厳しい制裁決議に基づいて、日本も含め各国が本格的な制裁処置を取るのは、これからです。つまり、今後、北朝鮮、そして金正恩の孤立化はさらに深まるわけです。もう、暴発は目の前かもしれません」(国際部記者) 独裁者の孤独が核の暴走を招かないことを祈るばかりだ――。