意外に多い現金トラブル…「海外旅行時のお金」どう用意するのがベスト?
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明日から4月。間近に迫ったゴールデンウィークやその先の夏休みの旅行計画を立てている人もいるでしょう。
行き先、観光施設、航空券や宿泊施設の検索は入念に行っても、忘れがちなのが“現地でのお金”。出発時にあわてて空港で大金を両替するという人もいるようです。
現金をたくさん持ち歩くのはセキュリティの面でも心配ですが、他にも意外な問題があります。そこで今回は、フランス在住のファイナンシャルプランナーの筆者が、“海外旅行時に知っておくと便利なお金の情報”を紹介します。
■意外に多い旅行中の現金トラブル
りそな銀行が行った「ボーナスと海外旅行に関する実態調査(2015年6月)」によると、海外旅行の失敗で一番多いのは現金のトラブルだそうです。果たしてどんなトラブルなのか確認してみると……
1.支払を紙幣で行い、小銭が余りすぎた…19.8%
2.チップの適正金額がわからず、払いすぎた/忘れた…18%
3.ぼったくり…12.9%
4.両替のし過ぎ…12.6%
と続きます。
もちろん、スリや盗難、紛失などの良く聞くトラブルも見受けられ、合わせて13%の人が回答しています。
■現金換金での「高額紙幣」はなるべく避けて
カードの利用者が増えているとはいえ、お財布の中に一万円札があると安心しますね。海外旅行で現金を両替するときも、大きな単位の紙幣に両替していませんか?
両替のときに紙幣の単位を選択できますが、米ドル紙幣なら100ドル(11,000円程度)、ユーロ紙幣も100ユーロ(12,500円程度)を選ぶ人が多いようです。しかし欧米諸国はカード社会。そもそも財布に多くの現金を入れている人はほとんどおらず、50、100ユーロなどの大きな単位の紙幣はほとんど使いません。
現地の人でもセキュリティの面で心配ですし、大きな紙幣は偽札と疑われるというのが大きな理由。小さな商店では大きな紙幣は受け取り拒否されるところもありますし、スーパーやデパートでは支払い時に紙幣識別機でいちいち偽造チェックされます。
偽札ではない確信があっても、あまり気分のいいものではありませんね。通貨換金の際は、大きな単位の紙幣への両替はなるべく裂けたほうがいいでしょう。
■「両替のし過ぎ」に注意
前記調査でも、両替をしすぎて外貨が余ったという人は結構います。その通貨を使える国に何度も行くという人は良いですが、今度いつ行けるか分からないという場合は、そのまま外貨で持っておくのはもったいないですね。
余った外貨を帰国後に日本円へと換金する人も多くいますが、両替手数料がかかり、通貨によって1ドルや1ユーロの通貨単位あたり1~8円程度。そもそも日本円から外貨へ両替した際にも手数料を払っているため、ダブルで手数料を払うことになってしまいます。
■「硬貨」が余る
知っている人にとっては当たり前の話ですが、知らない人も意外に多いのが硬貨のこと。余った外貨の硬貨を日本円に両替しようとしても通常は両替できません。また、外貨預金をしている場合は、余った外貨を自分の外貨預金に預け入れることも可能ですが、硬貨の取り扱いはしていません。
慣れていない通貨の場合、海外での支払い時には紙幣で払うのが分かりやすいのですが、面倒でも硬貨を使い切るようにトライしてみましょう。パン屋、八百屋、ケーキ屋、カフェなど小さな商店では、細かな小銭で払ったほうが喜ばれるお店もありますよ。
それでも硬貨が余ってしまったら……。その時はユニセフに寄附する方法もありますし、一部通貨と一部店舗に限られますが、大黒屋で外国硬貨の両替を取扱っています。
■やっぱり「カード」が安心
現金は、盗られたり無くしたりすると絶対に返ってこないと言ってもいいでしょう。しかしカードなら、万一盗難や紛失があっても、止めさえすれば他人に使われることはありません。セキュリティ面では断然カードに軍配が上がります。
国によってはVISAに強い、マスターに強いなどの差がありますが、余程の辺境地への旅行でない限り、大抵の国ではクレジットカードが使えます。支払をカードで行えば、硬貨が余って困るということもなくなりそうですね。
■クレカの使い過ぎが不安な人には「デビットカード」
冒頭で紹介した調査を見ると、海外旅行中に予算オーバーをしてしまう人が約4割。オーバーした額は数万円単位で、2~5万円というのが過半数。「せっかくの海外旅行だから」「日本では手に入りにくいから」と、自分の中で特別なシチュエーションを作って財布の紐を緩めてしまうのでしょう。
特にクレジットカードでは簡単にそのシチュエーション展開を実現できますね。とりわけ、普段の生活でも、クレジットカードをついつい使い過ぎてしまうという人は要注意です。
そんな使い過ぎを防ぐには、デビットカードがおススメです。使い方はクレカとほぼ同じですが、一回払いのみ、利用可能金額は原則自分の口座残高が上限、利用する度に利用額が残高から引き落としされるなどの点が異なります。出発前にあらかじめ決めた予算だけを口座に入れておくなどの工夫で、使い過ぎトラブルを防げるのではないでしょうか。
以上、海外旅行前に知っておきたい「お金の情報」をご紹介しましたが、いかがでしたか?
海外旅行にお金を持っていくことは必要不可欠で、カードを用意するなど様々な手段がありますが、少なからず現金も必要になる場面はあります。
今回説明した“ちょっとした注意点”も参考にしていただき、海外旅行での食事やショッピング、様々なアクティビティを満喫していただけると幸いです。
(續恵美子)
【参考】
※ ボーナスと海外旅行に関する実態調査 – りそな銀行
【画像】
※ sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)