アイヌ民族が話すアイヌ語で民話を聞くことができるデータベース「アイヌ語口承文芸コーパス」が公開される。

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アイヌ民族が話すアイヌ語で民話を聞くことができるデータベース「アイヌ語口承文芸コーパス」が公開される。
アイヌ民族が話すアイヌ語で民話を聞くことができるデータベース「アイヌ語口承文芸コーパス」が公開される。

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 日露戦争後の北海道を舞台に、親友の願いを叶えるため大金を求める元軍人がアイヌ人少女と出会い、アイヌ民族と助け合いながらアイヌの遺した金塊を探し出すという漫画『ゴールデンカムイ』は、2016年のマンガ大賞に輝いた。この漫画の人気を受けてか、アイヌの文化に興味を持つ人が増えたようだ。

 かく言う私もその1人なのだが、そんな中、国立国語研究所のアンナ・ブガエワ特任准教授と千葉大の中川裕教授らのグループが、ネット上でアイヌ語で民話を読み上げてくれるサイト「アイヌ語口承文芸コーパス」をオープンさせたそうだ。中川裕教授は、漫画、『ゴールデンカムイ』でもアイヌ語監修を務めている。

 以下のサイトを開き、左側のメニューから作品名(全10編)を選択。センテンスごとに番号が振られているので、番号の下のスピーカーのマークをクリックすることでその音声を聞くことができる。

アイヌ語口承文芸コーパス ー音声・グロス付き-


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 この音声は、かつて北海道でアイヌ民話を語り継いでいた沙流川流域出身の木村きみさん(1900-1988)のアイヌ語沙流方言だ。アイヌ語には文字がないため、聞き取ったことばはカタカナとローマ字で表記され、そこに日本語と英語の訳と単語ごとの詳細な解説がつけられている。

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アイヌの一族(1863年から1870年代) wikipedia

 アイヌ語はかつて北海道、樺太、千島列島で暮らしていたアイヌ民族の言語であり、口承で受け継がれていた言語のため文書として残っている記録がほとんどない。

 現在アイヌ語を継承しているアイヌ民族の数が極めて少ないため、アイヌ語は近いうちに消滅してしまう消滅危機言語の一つとなっている。

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アイヌの男性(1880年) wikipedia

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1930年代のアイヌの夫婦 wikipedia

2007年の推定では、約1万5000人のアイヌの中で、アイヌ語を流暢に話せる母語話者は10人しかいなかっそうだ。別の推定によると、アイヌ語を母語とする人は、千島列島では既に消滅し、樺太でもおそらく消滅していて、残る北海道の母語話者も、平均年齢が既に80歳を越え、母語話者数も10人以下となっているという。

 アイヌ語は、2009年(平成21年)、ユネスコにより「危機に瀕する言語」として、最高ランクの「極めて深刻」の区分に分類され、数年後には母語話者が消滅すると推察されている。

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樺太のアイヌ(1903年) wikipedia


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