唯一の誤算は矢口真里?絶賛相次ぐ"カップヌードル新CM"の舞台裏

目を引く斬新なCMに定評のある日清食品グループ・カップヌードル。かつて銃を持った少年兵を登場させ、反戦を訴えるメッセージ性の強いCMを公開。一部視聴者からのクレームでこのCMは放送中止になってしまったものの、攻める姿勢が海外で大絶賛され、日清の企業理念をたたえる声が世界的に高まった。
そんな世界からも注目を集める日清食品グループが公開した新CMは、やはり攻めの姿勢を貫いている。
■スキャンダルを禁断の”パロディ化”
ビートたけし(69)が学長に扮する「OBAKA’s大学」を舞台に、小林幸子(62)、ムツゴロウ(80)、矢口真里(33)、新垣隆(45)が教授として登場する、というのが大まかな内容。既にご覧になった人も多いだろう。
ムツゴロウは生物学者教授に扮し、「噛まれて初めてわかることがあるんでね」と自虐ネタ。新垣隆は、佐村河内を彷彿させる人物と二人羽織でピアノを演奏。矢口は危機管理の権威・心理学部准教授として、不倫騒動をネタに「二兎を追う者は一兎をも得ず」と講義し、女子学生から「これ実体験だよね」と突っ込みを入れられている。
「過去のスキャンダルをパロディ化した悪ノリともいえるこのCMですが、視聴者からの評判は良好どころか大絶賛。制作サイドの狙いは当たってます。ただし、誤算だったのが矢口真里でした」
と語るのは、広告代理店社員。意欲的な作風は絶賛されているものの、矢口真里のみがネックとなっているようなのだ。
2013年5月、不倫騒動を起こした矢口は、昨年3月にモー娘。OGの辻希美(28)、高橋愛(29)と共に「脱毛ラボ」のPRキャラクターに抜擢された。久々の大きな仕事だったが、ユーザーからのクレームにより、わずか3ヶ月で降板した苦い過去がある。そんな経緯もあって、矢口は日清のCM出演決定をブログで「このお話をいただいた時は 嬉しすぎて一人で泣きました」と綴った。しかしながら、世間はまだ忘れていないと前出の広告代理店社員は語る。
「今年はベッキーを始め、多くの不倫騒動が起きているので、矢口さんの件は『もはや過去の話』という判断なのでしょう。しかし矢口は騒動後メディアに出るたび、『反省の色がない』といまだに世間の反感を買っているのが現状で、風当たりの強さ変わっていません。今回のCM起用についても『許されたと勘違いしてるのか?』といった声が上がっていて、彼女への攻撃は再燃しています」
やらかした“しくじり先生”をあえて起用した日清のコンセプトは見事。だが、それでも一部の層にはなかなか理解が得られないという。広告関係者が最も気を使う層・主婦だ。
「ネットに集まる主婦たちの力は恐ろしいほどの影響力があります。フジテレビの反日偏向に端を発し、スポンサーだった花王本社前での抗議活動が起きたこともあった。日清の矢口起用は、彼女たちが嫌う格好のネタ。場合によっては火の粉が飛びかねない」(前出・広告代理店社員)
完成度が高い日清CMはもちろんだが、それを巡る場外バトルにも目が離せない。
- 文・海保真一(かいほ・しんいち)
- ※1967年秋田県生まれ。大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーライターに。実話誌や週刊誌などで執筆し、芸能界のタブーから子供貧困など社会問題にも取り組む。主な著書に『格差社会の真実』(宙出版)ほか多数。