エンゲル係数が上昇中!なぜ家計の「4分1以上が食費」になる?
- タグ:
-
マネー
エンゲル係数が、最近また注目されはじめています。
エンゲル係数とは、食費にかかるお金が家計(消費支出)の何%を占めるかを表したもの。
2015年末に発表された家計調査の結果、2015年11月のエンゲル係数は25.7%。7ヶ月連続で25%を超えたのです。
■エンゲル係数が高いとどうなる?
エンゲル係数(%)=食料費÷消費支出×100
エンゲル係数が高くなるほど、食費以外にお金がまわせない状態で、生活は苦しくなるとされています。
総務省の家計調査によると終戦直後、昭和22年の全世帯のエンゲル係数は63%と高く、昭和28年は48.5%、昭和37年は39%、昭和54年は29.2%と、生活が豊かになるにつれ下がっています。
なお、2013年の全世帯のエンゲル係数の平均は22.1%でした(全国2人以上の世帯のうち勤労者世帯)。
逆にエンゲル係数が低いということは、食費以外の衣服やレジャーなどにお金が回せる状態。つまり生活が豊かである証しだったわけです。
■エンゲル係数が上昇している原因
そのエンゲル係数が、ここに来て上昇しはじめました。なぜでしょうか?
大きな原因のひとつは、間違いなく「消費増税」です。
そしてもうひとつが「円安」です。円安によって輸入品の値段が上昇したということで、事実、ここ最近はニュースを見れば値上がりのニュースばかりです。
しかし、それ以外のもうひとつの大きな原因は、「共働き世帯」ではないかと考えられているのです。
共働き世帯が増えたことが、エンゲル係数を増加させているということ。
通常であれば、共働きして収入が増えるわけですから、食費が上がっても相対的なエンゲル係数は下がるはずです。
たとえば、次のようになります。
[一般世帯]
1ヶ月総支出20万円 → 食費5万円 → エンゲル係数25%
[共働き世帯]
1ヶ月総支出30万円 → 食費7万円 → エンゲル係数23%
たしかに、お客様の家計相談にのっていると、ここ数年は正社員での共働きが増えてきた印象を受けます。
育児休業制度の拡充や時間短縮勤務の義務化により、待機児童問題等はあるものの、子育てしながら働きやすい環境が整いつつあるのでしょう。
■ご褒美が多くなりすぎている現状
子育てしながらの正社員勤務は本当に大変です。
ぎりぎりまで働き、子どもを保育園まで迎えに行き、帰ればすぐに家事。毎日壮絶な日々です。
だからこそ、「お惣菜ですませよう」「たまの休みぐらいゆっくり外食でも」と考えても不思議はないでしょう。
時短のための食材や外食を利用する機会が重なれば、エンゲル係数は増えていきます。
時間の余裕を買うための手段としては、もちろん間違ってはいません。
しかし、ここに落とし穴が存在するのも事実。
自分や我慢してくれている子どもへのご褒美(外食・レジャー)が多くなりすぎ、お金が貯まらない傾向があるのです。
つまり共働きで収入が多くても、貯蓄が増えていかないのです。
ご褒美がだめだとはいいませんが、コントロールしていく必要はあるということです。
(文/ファイナンシャルプランナー・岡崎充輝)
【参考】