平凡な人生を歩めない? 天才・宇多田ヒカル:ドラァグクイーン・エスムラルダ連載97 (2/3ページ)
15歳でデビューしてあれだけの大ヒットを飛ばしたら、あっという間に才能が枯渇したり性格が歪んだりしそうなのに、その後20年近く第一線で活躍し続け、(若干の情緒不安定感はあるとはいえ)悪い評判もほとんどきかないじゃない?
19歳で結婚して5年後に離婚したり、時々「発言がイタイ」と言われることもあったりするけど、いずれもヒッキーのイメージを決定的に損なうほどのものではない(むしろヒッキーらしくさえある)し、レコード会社に勝手にベスト盤を出されて激怒したときも、「売れなかったら叩かれるのは私なんですけど、正直なところ、ファンにお金を出させたくない、全く心のこもっていないモノです。未発表のものは何も入っていません」とコメントし、むしろ好感度アップ。
そして、どんなにお金や人気があろうと、一度華やかな世界を知った人間が「自分の意思で休業する」というのは結構難しいことなのに、それをさらりとやってのけ、またさらりと戻ってくるかっこよさ。
しかも、その5年の間に、お母さんを見送ったり再婚して子どもを生んだり、これ以上はないほどの「人間活動」をしっかりやっちまうあたりが、この人のヒキの強さというか、非凡さ。世の中には、「良くも悪くも、平凡な人生を歩むことができない星の下に生まれた人」ってのがときどきいるけど、ヒッキーも明らかにその一人なのよね。
こういう人って、遠くから眺めている分にはいいけど、近くにいたらまぶしすぎて、精神のバランス崩しちまうこともあるかも。なので、「藤圭子がヒッキーを『天才』と言ったり『悪魔』と言ったりした」というのも、ヒッキーが再婚相手に、(おそらく育った環境も、ふだん使う言語もまったく違う)イタリア人のバーテンダーを選んだ、というのも、すごくわかる気がするわ。
とまあ、今回はなんだかベタ誉めしちまったけど……。
新曲を聴いたところ、以前よりも歌声に人間味(やはり人間活動の賜物?)や深み、力強さなどが感じられるようになったヒッキー。「スターであること」と「妻、母であること」をいかに両立させるのか、というあたりも含めて(あのバランス感覚で、難なくやってのけそうだけど)、今後の活動が楽しみだわ!
てか、その前にアタシ、まずは過去のアルバムをちゃんと全部聴き直そう……。