入社3年目までに身に付けておくべき「お金のコントロール方法」
『社会人1年目からのお金の教養』(泉正人著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、そのタイトルどおり、新社会人を対象とした“お金の教科書”。
入社3年目までに身につけておくべきだと著者が考える「お金の教養」43をピックアップし、わかりやすく解説しているわけです。
きょうはそのなかから、いくつかのトピックスを抜き出してみたいと思います。
■「消費」「投資」「浪費」の違いとは
当たり前のことですが、自分が稼いだお金だけで生活する社会人は、お金をコントロールして使う必要があります。
なにを買うべきなのか、なにを買ってもいいのか、なにを買ってはいけないのか、すべてを自分で判断しなければならないということです。
そのためにはまず、お金の使い方が「消費」「投資」「浪費」の3つに分けられることから知る必要があるのだと著者はいいます。
消費とは、毎日を生きていくうえで欠かすことのできないもの。電気・水道・ガスといった光熱費や家賃、通信費、毎日の食費、日用品などが含まれます。
投資は、株や不動産など将来の資産形成につながるもの。キャリアアップのために資格取得や、健康維持のための食費などの自己投資も含まれます。
そして浪費は、必要以上に飲み食いしたお金とか、欲に任せて買う高級品や嗜好品など、生活に不要なもの。
いい方を変えれば、
「消費=買ったものが払ったお金と同等の価値を持っているもの」
「投資=買ったものが払ったお金以上の価値のあるもの」
「浪費=買ったものが払ったお金より価値がないもの」
といえるそうです。
■新社会人は消費に慣れることが重要!
社会に出たばかりの人についていえば、「買うべきもの」は投資であり、「買っていいもの」は消費にあたり、「買ってはいけないもの」が浪費にあたるものだと大別できるそうです。
そして、毎月決まって十数万円以上のお金が振り込まれる経験が初めてであるはずの新社会人にとっては、心がけるべき重要なことがあると著者。
当然のことながら、浪費を控えるように心がけ、まずは「消費」に慣れることが重要。どのような生活をすれば、毎月の消費が「使っていい金額」のなかにおさまるのか、その感覚をつかむことが大切なのです。
次に投資ですが、社会に出たばかりのときは、日常業務に追われ、3~5年後を見据えて行動することなどできないのが普通。
しかし、そんな時期だからこそ、自らの成長に投資をする「自己投資」を意識することが大切。そうすることによって、社会人として一気にライバルを引き離すことすらできると著者はいいます。
■毎月の支出と収入を正確に把握しよう
お金をコントロールするためには、毎月いくら稼いでいるのか、なににいくら使っているのかという「お金の現状」を把握することが必要。
住居費や食費などの出て行くお金(=支出)と、毎月会社から振り込まれる給与(=収入)を正確に把握しなければならないわけです。
収入とは、新社会人にとっては給与に当たるものですが、給与には「額面金額」と「手取り金額」があります。
額面金額は、基本給に時間外手当や通勤手当、住宅手当などの手当を足したもの。会社から支払われる報酬のすべてを合計した金額だということ(一般的には給与明細に「総支給額」と書かれています)。
手取り金額は、「差引支給額」と書かれたもので、額面金額から税金(所得税、住民税)や社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険)などが差し引かれたもの。つまり自由に使えるのは、手取り金額だということです。
■把握しづらい支出を管理する方法は?
支出の基本は「毎月の生活費」であり、固定支出と変動支出に分けられます。
固定支出とは、住居費や月払いの保険料、教育費といった毎月一定に支払っているもの。預金通帳を見れば、すぐに把握できるものです。
対する変動支出とは、食費や光熱費、通信費、レジャー費など、月によって変わる支出。特に食費やレジャー費は把握しづらいので、レシートや家計簿を活用して、1週間、1ヶ月単位で管理するべきだといいます。
他にも年払いの保険料や冠婚葬祭費、家電・家具の購入費など「年に数回の支出」、学校の入学金、住宅購入の頭金、自動車購入など特定の年にだけ発生する「一時支出」が。
いずれにしても収入と支出は、ひとり暮らしで生計を立てていくうえでの基本。必ず把握することが大切です。
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このように基本がわかりやすく解説されているため、聞くに聞けない疑問も解消できるはず。ぜひ、手にとってみてください。
(文/書評家・印南敦史)
【参考】
※泉正人(2016)『社会人1年目からのお金の教養』ディスカヴァー・トゥエンティワン