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北の植林事業が失敗する訳 (2/2ページ)

デイリーNKジャパン

いざ木を植えようにも、土を掘る人も苗を管理する人も足りていない。それ以前に、苗木事業所や原林事業所もまともに機能しておらず、苗が供給されないため、植林に動員された人が市場で購入するハメとなる。

北朝鮮の住民たちもは、どうせ苗が育たないことがわかっているため、別の山から引っこ抜いてきた木を植えるのはもちろん、初めから根のない木を植えたりして、「成果を達成した」と報告する。もはや育つ育たない以前の問題だ。

忘れた頃にやってくる山林巡視員も、木についての知識がまるでない。植えられた木が育っているか確かめると言って、根元を掘り返してしまうのだ。これではせっかく育ちつつあった木も枯れてしまう。

当局は、個人耕作地にも木を植えさせるが、土地の持ち主が農業の邪魔になるからと抜いてしまう。さらに、薪用に木を切り倒す人も後を絶たない。上部に「100本植えた」という報告が上がっても、実際に育つのはそのうち数本に過ぎない有様だ。

北朝鮮で30年以上植林事業に携わっていた脱北者は「食糧と暖房の問題が解決しないかぎりは、いくら木を植えたところで同じことの繰り返しだ」と指摘した。

北朝鮮の北部国境地帯に住む農民たちは、燃料として薪を使っている。コメを炊くにも、暖房をするにも薪が欠かせないので、木を切り倒す。さらに国からの食料配給が全くないので、トウモロコシを植えるために、木を切り倒す。

遅々として進まない緑化事業に対して、韓国の民間団体が支援を行っている。しかし、何の結果も生み出していない。

朴槿恵大統領は2014年3月、「山林の荒廃で苦痛を受けている北朝鮮に農業、畜産、山林を共に開発する『複合農村団地』を造成する」との構想を明らかにした。それに合わせて、韓国の多くのNGOが北朝鮮での植林運動を行った。

ある韓国のキリスト教系の団体は、2026年までに北朝鮮に1億本の木を植えることを目標に、植林作業を行っている。木は軍事転用される可能性も少ないため、北朝鮮支援用の手頃なアイテムだからだ。

しかし、前述の情報筋は「植えられた木は、幹部の家のかまどの煙になって消えているだろう」と指摘した。韓国から来た木は「一級品」扱いされるので、幹部の格好の餌食になってしまうのだ。破綻した社会システムに加えて、南北関係の悪化により、韓国のNGOの支援からの支援が中断している現状からすると、北朝鮮に緑あふれる山が戻るのは、もしかすると南北統一よりも後になるかもしれない。

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