橋下徹のテレビ復帰に暗雲?”過激キャラ”消えてタレント価値激減

デイリーニュースオンライン

Photo by Magdalena Roeseler
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 元大阪府知事にして前大阪市長である弁護士・橋下徹(46)が4月11日にテレビ朝日系列で放送された「橋下×羽鳥の新番組(仮)」にて、およそ8年ぶりとなるバラエティへの本格復帰を果たした。政治家時代には、最終的には住民投票で否決されたものの、大阪都構想に代表される改革を掲げ、大ナタを振るい続ける徹底した姿勢で熱狂的な人気を博した橋下徹。しかし、テレビにおいては、そんな橋下の魅力が影を潜めているのではないかという指摘が相次いでいる。

■タレント業復帰も批判が殺到

 この番組は今回始まるレギュラー放送に先駆け、3月23日に3時間の特番として放送されたが、視聴率が9.9%と振るわず、「橋下らしい過激な発言がなく肩透かし」という批判も多く見られた。制作サイドもその事を気にしたのか、番組冒頭で橋下がもう一人のMCであるフリーアナウンサー、羽鳥慎一(45)とともに緊急会見。「大阪は結構キビしかった」と特番に対して批判を受けたことを認めながらも、「24時間365日、怒って喧嘩しているわけないじゃないですか。(中略)まあ素の僕なんですよね、あれが」と発言し、本来の自分は一般的なイメージと違うと主張。

 しかし、続けて橋下のバラエティに関する姿勢にもの申したいという東国原英夫(58)が出演。23日の特番について「どんなもんが出るんだろうってテレビを見たよ。まさかの食べ歩き」と批判し、「政治、行政をやる時にこの人は素晴らしいんですよ。まずリサーチするんです、それで準備するんですよ。(中略)それをバラエティ番組でやったのかって話ですよ」と橋下に痛烈なダメ出しを行った。ここまでは、今回こそ舌鋒鋭い橋下が見られるのかと視聴者が期待できる作りになっていたと言えるだろう。

 しかし、そこからの番組は一気にグダグダに。「橋本さん! 日本のこんな所オカしくないですか?」というメインコーナーは、東国原や尾木ママこと尾木直樹(69)に加え、タレントのテリー伊藤(66)、アナウンサーの小島慶子(43)、モデルの加藤紗里(25)が出演。彼らが独説(どくぜつ)なる意見を橋下にぶつけるという内容。

 こちらは最初こそ小島の掲げた『橋本さん! ゲス議員のせいで育休のイメージが悪くなった』というテーマで、宮崎謙介元衆議院議員(35)の不倫騒動で注目された育休問題を、橋下は尾木を始めとした他の出演者と真剣に議論し、「自由に休みがとれる国会議員には育休は必要ない」「まず民間が育休を取れるようにするべき」と持論を展開した。

 しかし、その後は加藤の『ネットの書き込みをデカデカと膨らませるマスコミはオカしい』、羽鳥の『橋本さん! 好きなアナウンサーランキングはおかしい』というほぼ個人的な悩みについては、テーマも影響してか、質問者を揶揄するような応答に終始。尻すぼみとも言える形で番組が終了した。

 世間では、番組内容に対して「正論を言っている」「橋下さんのような論破力が欲しい」などの好意的に見る向きもあるが、「橋下と東国原というオワコン(終わったコンテンツを指す略語)を並べてもしょうがない」「内容にどうでもいいものが多すぎた」などという意見も多いようだ。テレビ制作会社の社員は語る。

「正直、かなり微妙でしたね。唯一まともだった育休の議論に関しても、尾木ママがあっさり白旗を上げてしまいましたし。大体、素の自分なんて話をしたら、タレントだって皆あれが素のわけがないじゃないですか。それぞれ求められるキャラをやっているわけです。橋下さんも、政治家時代は過激なキャラで支持を得たわけですから、そのままテレビでもやった方がいいのでは。噂では秋から古館伊知郎が辞めた『報道ステーション』の後釜に……なんて話もあるそうですが、このままではそんな話も立ち消えになってしまうんじゃないかと勝手に心配してしまいますね」

 もちろん、橋下が完全に魅力を失っているというわけではないだろう。だが、東国原の指摘通り、復帰はしたものの、バラエティに本腰を入れていないのではないかと疑わざるを得ない面もある。

 例えば同日に同じくテレビ朝日で放送されたバラエティ、『クイズプレゼンバラエティーQさま!! 3時間スペシャル』での“信長問題”だ。著名人が選ぶ偉大な指導者30人というテーマの中で織田信長を取り上げ、「政治的な主張を通そうとすると基本的には殺し合いになる。(橋下自身は)人を殺してはいないが、選挙で政治生命を奪われた方は恨みつらみがあるだろう。しかしそういうことをしないと改革は進まない」と政治家時代の自分の改革姿勢と信長をなぞらえて紹介した。

 これに対し、巷では「自分と信長のイメージを合わせている」「史実では信長は改革的なことをあまりしていないという説が最近主流となりつつあるのに認識がおかしい」という主旨の意見が噴出し、一部で話題となってしまったのだ。重箱の隅をつつくような話ではあるが、東国原の言う通り、こうしたツッコミが入ることに対する徹底的な準備やリサーチが足りていなかった点はあるのではないか。

 ことテレビの外では、自身のメールマガジンで、アメリカの大統領選について、「ドナルド・トランプが大統領になるのも悪くはない」と意見を表明したり、Twitter上で男子バドミントンのトップ選手たちが闇カジノに出入りして処分を受けた件について「賭博は絶対悪ではない。『闇』が絶対悪。『闇』の責任は法制化しない国会議員にある」と述べたりするなど、ある種過激とも言える発言を続けている橋下。

 彼のこうした一面こそ、視聴者が望むものではないかと思うのだが……。果たして、橋下はこれからも今回のように期待を裏切るのか、あるいは本腰を入れて過激で徹底した一面を出していくのか。今後に注目したい。

文・海保真一(かいほ・しんいち)
※1967年秋田県生まれ。大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーライターに。週刊誌で執筆し、芸能界のタブーから子供貧困など社会問題にも取り組む。主な著書に『格差社会の真実』(宙出版)ほか多数。
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