最低3つはスポーツ経験を!子どもの運動能力を開花させるヒント
いよいよ今夏に迫ったリオデジャネイロ五輪。お茶の間で世界のトップ・アスリートたちの激闘を見ながら、「うちの子も、いつかオリンピックで活躍する選手になったらいいなぁ……」と夢見るパパやママも多いのではないでしょうか。
そんな夢を現実に近づけるために読んでおきたいのが『伸びる子どもの、からだのつくり方 「かけっこ一番」を目指す前に、知っておきたい60のこと』(森本貴義・山本邦子著、ポプラ社)。
本書は、アスレティック・トレーナーとして数々のトップ・アスリートの心身メンテナンスを行う夫妻による共著。
ご主人の森本さんは2004年から10年間、米大リーグのシアトル・マリナーズでトレーナーを務め、メジャーリーガーの心身のケアに従事した経歴の持ち主で、日米の子どもたちのスポーツ環境を熟知しています。
ここでは、本書33項の「子どもには3つ以上の競技を経験させましょう」に注目します。
■アメリカではスポーツの掛け持ちが当たり前
日本では、プロのアスリートの多くが小学生くらいまでにひとつのスポーツを選び、それをずっと続けることでプロになっています。
たとえばプロ野球界で活躍する選手の場合、小学生時代からリトルリーグなどに入って毎日4~5時間練習し、中学、高校と経験を積んで実力をつけていくスタイルが一般的でしょう。
これに対し、アメリカでは多くの子どもが小学生の間に少なくとも3~4種目のスポーツを経験するそう。
著者の森本さんがマリナーズで接したメジャーリーガーも、ほとんどが野球だけでなく3つ以上の競技を子どものころから体験していたというのです。
なかには高校までほかの競技をしていて野球をやったことがない人や、大学時代に野球とバスケットボール両方で選手として活躍していた人もいたのだといいます。
■日本でも広がりつつあるスポーツの掛け持ち
子ども時代に複数のスポーツを経験することのメリットは、「動きの引き出し」が増えていくこと。
競技によって異なる身体の使い方をするため、いつもやっている競技ではあまり使わない筋肉などを使うことで、身体の使い方を見直すことができるのです。
これはケガをしにくい身体をつくったり、子どもが向いているスポーツを見つけたりすることにも役立ちます。
森本さんは、アメリカのスポーツ選手が世界で活躍できるのは、子どものころからこうした多種多様なスポーツ経験があることも大きな要因だろうとしています。
日本でも、子どものころから複数のスポーツに取り組む例が増えているとか。
昨年、1年生ながら甲子園を沸かせた早稲田実業の清宮幸太郎選手はお父さんが社会人ラグビーの監督であることは有名ですが、このお父さんが「将来の運動能力が開花するのは12歳くらいまでの経験にかかっている。だからさまざまなスポーツを経験させるのがまずは大事」と、幼いころから水泳、ラグビー、野球、テニスなどを経験。
ラグビー日本代表の五郎丸歩選手は、中学時代サッカー部とラグビー部の両方で活躍していたといいます。
早い時期に「これ」と決めてしまわずに、少なくとも3つのスポーツを経験させることが子どもの未知の可能性を引き出すことにつながるのです。
■成長段階に合わせた運動経験をさせるべし!
子どもの成長に合わせて、身体の使い方を工夫することも大切。本書では、20歳までの臓器別発達パターンが紹介されています。それによると、身体の発達はおおまかに3つに分けることができるのだそうです。
(1)第一段階:【小学生前半まで】神経系の発育が顕著な時期
脳や脊髄、視覚器などの神経系は5歳ごろまでに80%、6歳では90%までに成長し、12歳ごろに100%に達するといいます。
神経系は器用さやリズム感を担う場所であるため、幼児期から小学生の前半ごろまでは基本的な運動動作の習得が大切です。この時期は、身体の動きを楽しく体験することが望まれます。
(2)第二段階:【中学生ごろ】呼吸器や循環器系の発育が顕著な時期
この時期は、持久力をつけるのにふさわしい時期。粘り強さなど、精神面での持久力を身につけるのにも、この時期が最適。特定のスポーツや種目を選び、少しずつ専門性を高めていける時期ともいえます。
(3)第三段階:【14歳ごろ~】生殖系の発育が顕著な時期
生殖器系の発達に伴って、男性ホルモンや女性ホルモンの分泌が盛んになります。
性ホルモンの働きで、男性は骨格筋の成長が高まり、筋力トレーニングを効果的に行える時期に突入していきます。プロのアスリートに必要な筋力をこの時期に本格的に鍛えていくことになります。
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本書では、「呼吸」や「姿勢の保ち方」といった基本的な動作と、子どもの心と体の発達の関連が分かりやすく具体的に解説されています。
「呼吸」ひとつとっても、体幹の安定や精神の安定、ひいては身体のコントロールや思考の発達まで、子どもの成長全域に影響を及ぼすことに、みなさんもきっと驚くはず。
我が子の可能性を引き出すために、家庭でできることはまだたくさんあります。本書を手に、我が子をオリンピアンに導く最初の一歩を踏み出してみませんか?
(文/よりみちこ)
【参考】
※森本隆義・山本邦子(2016)『伸びる子どもの、からだのつくり方 「かけっこ一番」をめざす前に、知っておきたい60のこと』ポプラ社