人権団体の「AV女優強制出演」報告書が各方面から非難される理由【4】 (3/3ページ)

東京ブレイキングニュース

むしろそれがないと女性の安全すら満足に守れない業界なので、この点については現時点では必要悪であると言うしかない。

 よって、それをより世間が納得する形に直すには、わいせつ・有害業務・売春といった、相互に絡み合う性を縛る法律を解きほぐし、AVをハッキリと合法なものとする必要がある。合法なものでなければ、それを監督し、庇ってくれる行政機関など作れるはずがないからだ。それが済んだら、今度は業界をガラス張りにして、監督機関を通じて様々な部分を可視化していく作業が必要になる。

 ここまで状況を整えられれば、後は表の世界と同じ法律に従って活動すれば良いのだから、少しずつ業界から裏社会の臭いを消して行ける。だが、果たしてこんな話が可能なのだろうか。可能だとして、いったい実現までに何年かかるのだろう。

■どのみち最後に残るのは職業差別

 仮にAVの業界にこのような新しい仕組みが出来たと仮定してみるが、そうなったら「安全かつ収入もいい」と、一般企業に務めるよりも遥かに待遇が良くなってしまう。これもこれで大問題である。

 HRNは数千人の内の1%にも満たない哀れなAV女優の例を取り上げて、AV業界全体を悪し様に喧伝してくれた。では、世間でブラック企業と呼ばれ、社員にまともな賃金を払わず、酷い労働条件から精神を病んだり自殺にまで追い込まれる人間を生み出している会社が、今の日本にいくつあるのか。比率で言えばAVよりもそちらの方が高く、被害件数も桁違いに多いだろう。そのような状況で、AVやセックスワークの業界が今よりも安心・安全に金が稼げるようになったら、間違いなくセックスワーカー差別が加速する。

 つまるところ、今の日本が急務とすべきはセックスワーク業界をどうこうではなく、国民全体の待遇改善なのだ。どちらかというと、ヨゴレで当たり前で、それで一応の治安が守られている裸商売など、後回しにすべき案件である。これまでのようにある程度は自治に任せ、特にマズイ悪人だけをピンポイントで捕まえていけば、かかる予算も少なく済むし、何より具体的な救済に直結させられる。それが今すぐにできる最も現実的な方法論ではないだろうか。

 HRNが真にAV女優の身を案じてくれているのであれば、こうした複雑な事情をすべて把握した上で、セックスワーカーから職を奪う結果にならないように、そしていらぬ職業差別を生まぬように、是非とも尽力していただきたい。もしHRNに限らず本気で業界の改善に取り組んでくれる組織があるのならば、可能な限り協力したいとすら思っている。

Written by 荒井禎雄

Photo by Brett Jordan

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